ひとりの食卓の楽しみ

三茶のマメヒコの棚の中央に取っ手の欠けた大きなティーポットがあることをご存じか。

ひとりぼっちニューヨークにいます。
今回の用事は主に渋谷店の買いもの
かつて住んでいたのでニューヨークは楽チンです。
ただの旅行なら。

二年前に三茶の買い出しに来て以来。
前回同様 30箱以上になりそう。
「えぇーニューヨークでお買い物三昧なんですかぁ。うまやらしぃ」
とか言っちゃってるトンチンカンな女子にこの有り様を見せてあげたい。
これはね写真で撮ったらただの筋トレだよ わかる?
たったひとりで30箱郵便局から日本に送るとはどういうことか。
マンハッタンの交差点にいるボクはダンボールダンベラー。
一生鍛えなくていい筋肉鍛えてんのぉ。
前回はさんざん苦労して送ったのに、ついた荷物の大半は割れたり無くなってたりした
の。
ティーポットはそのときの遺品。
先代は苦労してこの土地に鍬をいれたんだ。それを忘れぬように墓標を建てましょう。っ
てあれ。
でもいつか
「あっあれ燃えないゴミで捨てときました、だって壊れてたしぃキャハッ」ってバイトの
子が言うんだろう。捨てないで。

買う予定のものが思いのほか見あたらず 移動はもっぱらタクシー。
こっちではイエローキャブっていうのね。
キャブの運転手はなぜか携帯電話で誰かと話してることが多い。
誰かと話しながらボクを乗せ、
誰かと話しながら目的地を聞き、
誰かと話しながら目的地まで運び、
誰かと話しながら勘定を済ませ、
誰かと話しながら下ろし次の客を乗せ、
いったい誰と話してんだよ!
普通さ「あっごめん、お客来たから切るわごめんとか」
「あなた運転中じゃない またあとでかけるよぅ」とか
どんだけ愛し合ってんだよ。
助手席乗せちゃえよ。
いや違う。
こんだけ話してる奴が多いってことは相手も運転手だな!
ありえねー、ボクだけならいざしらずもう一組被害者がいるなんて。
客をなんだと思ってんだ。

でもそんなことにめくじらを立ててたら到底暮らせないよ。
昔住んでた頃、高速にキャブで乗ってて、眠たいから運転変わってくれって頼まれたこと
あるもん。

夜の食事はどういうとこに行くかっていうとね。
スノッブな最高級レストランか誰も知らない街角の移民たちの食堂。

ニューヨークの最高級レストランはすごいよ。もう内装もマトリックスとタリバンのアジ
トを混ぜたようだったり。なんでもありで。
これがオープンして瞬く間に何百席もが満席になる。
世界中から席にすわりに来る感じ。
ボーイも女の子もインテリアも客も食事もみんな嘘くさい。
ニューヨークに来てこスノッブなレストランで食べてるんだというストーリーが周到に用
意されていて成金趣味ていうかね。
まだこんなのありがたがってるんだっていう。
箸が出てTOFUとスペシャルライスがおすすめだなんていうからなにかと思ったら、
麻婆豆腐とチャーハンだったみたいなね。
おいしくもなんともないのに100$くらいしたりさ。

かたや街場の食堂は気さくで温かくていいかったらそんなことなくてね。
店主の目つきが怖すぎて材料になっちゃうかと思ったり、
驚く程汚かったり、まずかったり
安すぎたりね。これもある意味怖いよ。
家族が黙ってものすごい量の鳥の骨を蛍光灯の下でしゃぶってる。
ボクは映画も見ないし本も読まないけど、
ひとりの食卓の前に広がるシーンはいくら見てても飽きることがない。
レストランとはなにか。美味しいとは何か。
国を捨てるとは何か、kamisamaとはなにか。
生きていくとはなんなのか
を考えるに十分な時間と刺激が世界のレストランやカフェにはある。

それはボクの大切な楽しみのひとつ。

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