マッチングについて

日曜日の混んでるとき、若い男性客が店員を呼びつけて、

「おい、椅子にガムがついてたぞ、このジーパンはビンテージだからクリーニングできない。
だから弁償代金として2万円寄こせ」。
「どうしたらいいでしょうか」とハタケにいるボクに対応している店長から電話があって、
「仕方ないから払ったら」とボクが言い、結局2万円支払ったのでした。

これは昨日の話。
「おまえの店はどういうつもりで、カレーにこんな高い値段つけてるんだ」
とその中年の男女は、やいのやいのとお会計時に店員を怒鳴りちらし、
さらにしばらくしてから、今度は電話をかけてきて、
「おまえの店はどういうつもりで禁煙なんだ、1時間後に喫煙できるようにしろ」
と、やんややんやと怒鳴って、
店員がトホホとなってしまった。

そういうことが立て続けに渋谷店でありました。

ガムがついてるぞと怒るお客に、申し訳ありませんでしたとお金を払う。
カレーが高過ぎると怒るお客に、申し訳ありませんでしたとお金をもらう。
お金を前にして、カフエの店員というのは何とも無力なんですね。

こういうどうでもいいようなことでも続けば、みんなしょげてくる。
気にしてないようでいて、じんわりとしぼんでくるのがわかる。
カフエというのは一つの閉ざされた空間ですから、
こういうことがじんわりと効いてしまうんです。

けど、こういう嫌な思いはカフエの仕事を100としたら0.0001くらいのことでしかない。
10000人のお客さんが来てくれて、接客してたら、一人いるかいないかでしょ。
いやいや。それでも多いかな。
10万人に一人いるかいないかだと思う。
だから、そのためにいちいち対応マニュアルなんて作るより、
ほっといた方がいい。忘れた方がいい。

そういえば。

マメヒコを作るとき、万人のお客に受けなくていい。
いや、受けてはいけない、と作ったことを思い出しました。

ほんの何人かの心にグサッと何かが残る店であればいい。
誰にも彼にも八方美人ではいけない。そう思ってました。
それは今も変わらない。けど。

マメヒコはこれこれこうこうです。
と表の看板に書いてあるわけじゃないですから。
中は一体どんな風になってるのかわからない。

様々な偶然、出会いで、店に入って来てもらう。
けれど、その中身が、みんなにいいよとなってない。
だから、時々、何とも後味が悪いことが、お客さんとお店に起こってしまう。
マッチングしないんですね。

カフエは狭いターゲットに絞れば絞るほど、
低い敷居の広い間口のカフエでなければならない。
というのが、ボクの考えです。
だれでも入りやすくして、分母を大きくするしかない。

当然、間違って入ってくるお客さんは多くなってしまう。
そういう皆さんには申し訳ないなと思う。
けど、どうしようもないです。
だから食べログのようなものがあるんでしょ。

最初の一回が、素敵な出会いになれるような仕組みが、
カフエでもできればいいのにね。
パートⅢはそういうのをやれないかな。
最近そんなことを考えたりしているのです。

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