孤独社会 CAFEの役割

 

『孤独社会 CAFEの役割』

□ 話者: 井川啓央 カフエ マメヒコ代表
□ 日時: 6/19(火)19:30~
□ 会場: LEAGUE銀座 2階
イベントスペース
http://league-brands.jp/location/ginza/
□ 料金: 3,500円
マメヒコの珈琲を用意します。
□ 定員: 35名
□ 申込: http://ikawayoshihiro.com

 

振り返ってみるとボクは今度の7/1で13年もCAFEの仕事をしているんです。そして13年経って、いま途方に暮れているんです。

13年の間に、ボクらを取り巻く環境は、大きく様変わったわけです。
(もちろんいつの時代も、変化し続けているわけですが)

ボクがCAFEを始めたころは、まだ喫茶店というものが渋谷にもわずかですが、あったんですね。そのもっと昔は、珈琲を飲むところは喫茶店であってCAFEではなかった。でも、もう間もなく、喫茶店は一つも無くなるだろう。みんなセルフサービスの紙コップで珈琲を飲むようになり、自分のことを見つめたりするために喫茶店に行くというようなことは、じきに無くなるだろうと思いました。そんな頃を思っていたさなかにカフエ マメヒコを作ったんです。

予想通り、たくさんの個人の喫茶店が廃業を余儀なくされ、街にはチェーン店のCAFEが台頭しました。そのなかでボクが始めたマメヒコは、なにもかも劣っていました。そもそもどうしていいか殆どわからなかったんです。なんの知識も持たずに始めましたから。お店をもっと使いやすくしたい、もっといい材料を使いたい、もっと良いスタッフを集めたい、そう思ったところで、お金もない、とにかく集まったメンバーと、それでも来てくださったお客さんとの、個人の思い、志だけで店をやっていたんですね。

それからは皆さんのご存知のとおり、日本の社会はさらにシステム化は加速し、一層の均一化が進んでゆきました。ボクらが始めた三軒茶屋や渋谷の個性なんてものは薄れ、その街に合わせたお店というものも減っていきました。だからこそ志だけは高く、ときに不均質かもしれないけれど、体温のある珈琲やデザート、食事、接客を実現しなくてはいけないと考えたんですね。

とにかく、古くからあって良いものは残して、新しいものは取り入れる。いままである当たり前とやらのすべてを疑ってかかる。マメヒコを続けるそのことが挑戦でした。

その殆どは、経済的にはうまくいきませんでした。できもしないのに、やりたいことは大きくあるんですから。失敗の連続です。それでお店をやりながらも幾度の危機があったわけです。嫌な思い、自分の無力さ、世の儚さ。そういうことだらけで、毎日辞めたいと思ってました。けれど。そのときどきで、運と出会いに助けられました。そして、いまがあるんです。それはもうただ、運が良かったから続けられているだけですね。

CAFEというのはまさに人間交差点で、思いがけない出会いがいっぱいあるんですね。CAFEをやっていなければ、絶対に会わないという出会いです。足繁く通ってくださるお客さんの抱えている個人的な思いが、マメヒコを続けさせているんだと、危機を乗り越えるたびに、実感することがあります。三軒茶屋、渋谷と営業を続けていくなかで震災が起きました。ボクらはそのなかでも毎日、朝から夜までほんとうに片時も休まず店に立ち、店を立て直すこと、スタッフを集めること、たくさんの支払いを滞りなくすることに精一杯でした。お客さんが直接お金を工面してくれたとか、そんなことはひとつもないですけど。「いままできちんとやってきて、俺たちもそれを信じて通ってんだから、止めずにきちんとやれ」というメッセージを受け取ることがあるんですね。CAFEをやっていくうえで、最期の責任みたいなものをどうせボクは負わなきゃいけないんだから、とにかく好きにやろうと決めました。それでだめなときはだめな時。天命と思って諦めるということですね。

そうやってボクやボクらが、マメヒコがそうやってやってきたことがときに、「小さくても、零細でも、自分たちのやりたいようにやってもいんだよ」、というメッセージとして、一部のお客さんに受け取められたことは事実です。それは断片的に見れば、なかなか理解しにくい、共感が広まりにくい。そういうお店になってしまったような気もしています。ですが、そのかわり、あるヒトにとってはとても深く残る、そんなお店になった気もしているんですね。自分で言うことじゃないけど。

そして気づけば、2020年の東京オリンピックが決まり、街の再開発や再編に飲み込まれています。その前には、まったく無力な自分たち、という経験をいましています。

CAFEはこれからますます必要だろうと思います。お客さんがボクらの北海道にある農場を自発的に参加して手伝ってくれたことが、そもそものきっかけだったんですが、いまでは日常的なお店の運営にお手伝いしてくれるお客さんは欠かせない存在となっています。

マメヒコに関わってくれるお客さんをボクらは「ご近所さん」と呼んでいます。そして、回覧板を作って毎週届けています。「ご近所さんカード」というものを作ってもらって、そこに色々なことでポイントを付けて、そのポイントでいろいろな催し物に参加したりしてもらっています。お金ではなくポイントで払うスタッフは互いにインですよ。お金を払う、もらうという関係になると、志が続かなくなる経験をさんざんしてきましたから。ご近所さんのお手伝いが、これからのCAFEの新しいあり方を定義しているなと感じることがあるんです。こういう仕組みを、ファンづくりに成功しているとか、コミュニティーを形成しているとか、総括したがるヒトがいますが、それには抵抗があります。やっぱり、本質は一人ひとりなんですよ。一人ひとりの思いとどこで繋がれるかなんですね。ボクらが一般化して語ることは、どこか欺瞞じゃないかという思いがあります。

マメヒコはちょうど今、7月で渋谷の宇田川町店が閉店します。そして、新しいお店の開店準備もしています。いままで付き合ってきたマメヒコではなく、これだけ街に増えたCAFEについて、そしてこれからCAFEはどうなるのか、CAFEをどうやって続けていけばいいのかについて、考えてみたくなっているところです。

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