アレロパシー、
植物に学ぶバズらせない戦略

イカハゲ塾より〜

除草について

ハタケマメヒコをはじめて来年で10年になる。ハタケマメヒコの作業の9割は雑草取りなんだ。育ててる作物の若葉より背丈が大きくならないように、周りの雑草を抜き続けるのがボクラの仕事だ。

とにかくボクラは作物に「ここはお前たちの場所なんだ」と励まし続ける、新人アイドルのマネージャーみたいなものだ。君たちはここにいていいんだ!と言い続けるのが仕事。ギシギシやアカザ、ヨモギなんてのは、ほっとくとエライことになるからね。そういうライバルを見つけたら早く芽を摘む。

畑で野菜を作るというのは、とても不自然な世界だよ。

ボクラが作ってる小豆は成長が遅いから、ずいぶん過保護にしないと育たない。小豆は自分の背丈よりもまわりが高くなると、すぐふてくされるからね。可愛くて美味しいけど、弱い。小豆姫だよ。小豆の本葉が広がりだし、土地に小豆のシェアが保証されると、ボクラが手を入れなくても周りの雑草は消えていくのね。

それを6月から8月まで毎日。

ボクラは10年間、飛行機代をかけて、何をしてたかと言うと雑草を取りに行ってたようなもんだ。

プロ農家はそんなことしない。除草剤があるからね。雑草だけに効く選択性のがあるから。農家はそれを撒くんだよ、噴霧器でまけるからホーで取るより作業効率がいい。

ラウンドアップって除草剤が問題になってるけど、それに代わるものが開発されない限り、使用中止にはならないだろうね。そんなことしたら高温多湿、人手不足の日本の農業は影響が大きくなるから。

国産農業なんてやめちまえっていう人もいる。そもそも日本は農業に向かないんだから、得意な分野に特化するべきだとね。

日本は平野が少ないし、変形してるからトラクターも効率が悪い。うちの土地も台形で一変が狭くてね。トラクターはUターンがとても面倒。狭い土地を何度もUターンするのは非効率だよ。だから日本のハタケは非効率だから、止めたほうが良いっていう考えだね。

植物は移動できない

ハタケマメヒコは10年目の今年、場所を千歳から北海道の月形町というところに移したの。

ここの畑は粘土質。雨が降るとずぶずぶの、ほんと陶芸の粘土に足をつっこんでいるような感じ。いままでの堆肥の入ったフカフカのハタケと比べると、こんなんで植物が育つのかなってかんじね。

そこに今年は、小豆と大豆を蒔いたんだけど。案の定というか、ほとんど発芽しなかった。それが粘土質のせいなのか。それはわからないけど、とにかく発芽はしていない。

それでもね、雑草は生えるんだから不思議だよね。月形のハタケはギシギシが多いの。前は、スベリヒユが多かった。
みんな雑草のことを知らなすぎるよ。スベリヒユは、ロゼット状になって、すっぱくてとろっとして甘酸っぱい。オクラみたいで食べたら美味しいよ。

そのギシギシを、何本か抜いてみたんだよ。どうやって石のように固い土に根を張ってるんだろうって不思議に思ってね。見るとわかるんだけど実に巧みに根を張ってるんだよ。植物は生存のために、工夫しながら生きてるんだよね。

どんな土地でも雑草は生える。すべての条件を整えてあげないと育たない栽培作物って。不自然なことだよ。

 ハタケマメヒコでボクはたくさんのことを植物から学んだ。その一つが植物は動物と違って、生育の場を変えられないってことなんだ。

ボクはどちらかといえば、自分の行きたい場所に行ってそこで暮らしたい。今日は東京にいるけれど明日はどこにいるかわからない、という感じね。ネナシグザがいいね。

安住の地で暮らすみたいなのが性に合わない。

そんなボクがどういうわけか、カフェという鎖に繋がれちゃった(笑)。山下公園で氷川丸を見ると、ボクはあれだなと思って泣けてくるんだよ。渋谷がずたぼろになっても、マメヒコは動かせないからね。

どこか宿命みたいなものがボクの哲学になってくる。そんなの時代錯誤かもしれないけど、動かしたくても動かせないという生き方もあるよね。だから自由の大切さもわかるし、忍耐もわかる。

 植物は能動的に自分の居場所を移すことができない。だからこそ恵まれない土地で工夫しながら生きている植物の姿を見ると、感動するし、師として仰いじゃう。

アレロパシーでバズらせない戦略

植物っていうのは、優しいイメージあるけど、やってることは結構残酷だよ。優しそうに見えて、気に入らないやつは駆逐していくからね。植物にはアレロパシーっていうんだけど、よそものを攻撃するなにかを出してるんだよ。

ところがこのアレロパシー、自分たちにも向けられるんだな。

自分たちの種を拡大させ、他の種が入ってこないように生育を阻害するのが植物の生態系だけど。そのとき出したアレロパシーは、自分たちの種にとっても生育を阻害させてしまうことがある。だから圧倒的なシェアを取っていても自家中毒を起こしてしまって長期間継続することはないんだよ。

いまの日本は平和だけれど、一方で新陳代謝が起こりにくいという印象があるね。SNSの台頭で個人は多様化したように言うヒトもいるけど、ボクはどの分野も、ひとつの種のシェアが圧倒的に広がっていて、無力感を感じているヒトのほうが多い気がする。

植物は圧倒的なシェアを持っていても、アレロパシーでバズらせない戦略を持っている。それはやっぱり、多様性を保たせることにウエイトを置いてるからだという気がするのね。そのほうが持続可能だという真理があるんだよ。 

ボクら日本人もその多様性をもっと意識したほうがいい。戦争をしないためにもね。多様性が減ることで、やる気が削がれることが一番良くないことだと思うね。

「どうせ、ボクワタシなんて、なにやっても無力だから、なにもしない」というね。どんな種だって植えれば、芽を出し上を目指す。それは頑張ることじゃなくて、自然を見て、アタリマエのことなんだとボクは学んだんだよ。

 

 

来週のイカハゲ塾のテーマは、6/26(水)19:30 マメヒコ公園通り店
「カフェ経営とはこれすなわちパーソナルビジネス」。

 



井川啓央
井川啓央
Theme
アーカイブ
N-50 Noと言えますか?

前回に引き続き、ゲストに木島杏子さんをお迎えして、3人でお届けします。 杏子さんは、自分はこうしたい!と思ったら、周りがどうであれ、気にすることなくその信念を貫いて行動ができる方です。それは自分や家族に対してだけでなく、

小説「レモンベーカリー」

『レモンベーカリー』という小説を書きました。 こちらにpdfの形で投稿します。 一年近く、一月一本で書ける長さのものを書いてきました。このたび書いたレモンベーカリーは集大成です。 このような形態の小説を読んでくださる方が

SEO vol.120 杏里「Fly By Day」

専門分野に特化したヒト、0から1を生み出すヒトがもてはやされ、そのメソッドを掘り下げたり、そうなる術を探ることが多い昨今。ともすれば、瀬尾さんは「創作の才能」について掘り下げられがちです。 でも!瀬尾さんのすごさを誰かに

N-49 本物に触れていますか?

ラジオ「井川さんとなっちゃん」が始まって以来初めて、ゲストにお越しいただきました。今回のゲスト、木島杏子さんはマメヒコのお客さんなのですが…ちょっと見聞きしている限り、傍目にはどうも型に収まらない方なんじゃないかと思った

SEO vol.119 柴田淳「ちいさなぼくへ」

見渡してみると、ヒトの損得が気になって、ヒトの粗探しばっかりして騒いでいるような人がとても多くなっているように感じます。 みんなが一緒じゃないわけで、それぞれの身の丈に合った生き方を模索して実践すればいいだけなのにと瀬尾

N-48 フランクリンを目指してますか?

井川さんは「テンションは礼儀」だと思っています。親しき中にも礼儀あり、と言いますが、お互いの間に関係性を築けた相手にこそ、甘えてテンションが低いところを見せるのではなく、いつもご機嫌で接したいし、接してほしいなと考えてい

SEO vol.118 小林信吾「Midnight Sun」

ラジオ瀬尾さんが始まって、早2年…初めてゲストの方がいらっしゃいました!! 栄えあるゲスト第一号の方は…瀬尾さんが仕事をする上で、今やこの人なしにはできないくらいの存在だという、編曲家であり、ピアニストの小林信吾さんです

SEO vol.117 中島みゆき「とろ」

先日、石田匠さんのライブで1曲歌ったという瀬尾さんに ぜひライブをやってほしいという声が届きました。 それを聞いてやろうやろう!と早速盛り上がる井川さん。 でも、一方で瀬尾さんは乗り気じゃないようで… もっとたくさんのリ

N-47 自分と向き合っていますか?

自分の内面と外面のギャップに悩むリスナーの方からお便りが届きました。 自分はこうだ、とか、こうありたい、と思う姿は、他人が見ている自分の姿と違う。そういうことは、誰にだってあるように思います。外面があるからヒトと関わった

アレロパシー、
植物に学ぶバズらせない戦略

イカハゲ塾より〜 除草について ハタケマメヒコをはじめて来年で10年になる。ハタケマメヒコの作業の9割は雑草取りなんだ。育ててる作物の若葉より背丈が大きくならないように、周りの雑草を抜き続けるのがボクラの仕事だ。 とにか