いかひこ塾「改めて照葉樹林文化」

12月8日、第2回いかひこ塾のテーマは「改めて照葉樹林文化」です。この日はなんと、小学生も参加。優秀な人だけが集まるのではなく、老若男女、「通りすがりです」みたいな人達が参加する。それでこそカフエによる講義だと、嬉しくてルンルンの井川さんです。

 「照葉樹林文化」というのは、中尾佐助という植物学者によって提唱された考え方だそうです。植物学者として世界中を旅した結果、東アジアのヒマラヤ山脈の上から、中国雲南省、そして日本にかけては照葉樹が生えていて、「なんか似てる」と思った。文化が似ているんじゃないかと。井川さんはその考え方に中学生くらいの時に触れて、ひどく納得したそうです。と同時に、日本がいかに間違っているかに気が付きました。 

照葉樹林文化の象徴的なものの一つに、「お茶」があります。照葉樹というのは、葉っぱがツルツルしていて、エバーグリーン(紅葉しない。ずっと緑)で、その代表的なものが、茶や椿だそうです。

でも今、照葉樹林地帯でしか採れないそのお茶を、ありがたがって飲む日本人はいない。日本の庭先で生えているお茶をなぜかヨーロッパから輸入して、「紅茶ですね」ってありがたがっている。いい茶葉は国内の照葉樹林で採れるのに。

アジア人はヨーロッパの紅茶やコーヒーに憧れる。一方でヨーロッパの人はアジアのお茶に憧れる。つまり目の前にあるものよりも遠くにあるものをありがたがる傾向にある。人間というのは、そういう愚かなものだというお話です。

そんな愚かさに中学生という若さで気付いていながら(!)、大人になって、マメヒコという、カフエという、いかにもヨーロッパナイズされたものを始めてしまった。お茶では人が集まらないから、大衆が相手だから、コーヒーや紅茶を出している。

井川さん、今日は、そんな自分の愚かさを公にすることで、幼ない頃の魂を鎮めに来たのだそうです。時には声を荒げて、思いの丈をぶつける場面もありました。

話は食文化へと移行していきます。照葉樹林文化の食文化の例として、

  • 餅をつく
  • 根菜類を水にさらす
  • 鵜飼
  • ワラビ
  • みかん

などが挙げられるそうです。餅つきは中国の雲南省でもするし、シルクロードなんていう通り、絹つまり蚕は東アジア地域にもあります。穀物をカビで発酵させて作る麹もまた、このエリアの人たちしか作りません。高温多湿の日本では、人間も放っておくとカビてしまう。だから予防接種と同じように、せっせとカビを摂取して自分をカビさせないようにしているのではないか、というお話もありました。みかんもこの辺りだけ。欧米ではレモンやオレンジということになります。

 そんな知識を踏まえて、「鏡餅」を見てみましょう。    

ぼたもち

餅、シダ、みかん(だいだい)。日本の伝統的な文化とされている鏡餅は、針葉樹林文化そのものと言えます。

先ほど出てきたワラビは、シダ植物ですね。だいだいからは、オイルができます。これをベルガモットといいます。マメヒコで圧倒的に売り上げを立てているのは、ベルガモットの香りで知られるアールグレイです。

つまり、鏡餅はアールグレイということです。なんだかんだ言っても、日本人はみかんの香りとお茶が好きだということです。鏡餅は食べないけれど、なくしたくはない。それは、DNAがそうさせているのだと。

DNA。実はここからが本題です。

「文明は変わる、文化は変わらない」というお話。文化とはDNAであり、くせであり、習慣、そしてばか。ばかは死んでも治らないなんていいますが、文化とはそういうものです。

それに対して文明は「あとづけ」であり、憧れとも言えます。マメヒコは文明です。繰り返しますが、この日は文化を大切になんていいながら、カフエという文明を、お金のために始めてしまった自分の贖罪の場だったそうです。本来なら、焼き林檎の上にアイスじゃなくて、みかんの上に豆腐だよ。そんな嘆きも聞かれました。

文明はどんどん手に入る。すぐさま留学も旅行もできる。そうなるとお金がないという話になる。どうしたって拝金主義になる。一方で、文化はお金がかからない。お茶ならそこら辺にいくらでも生えてるけど、コーヒーを飲むからお金がかかる。

でも最近では物が売れないもんだから、「梅干しを漬けましょう」とか、ぬかの化粧品だとか、文化すらもお金に変えようとする商売人がいる。本当はタダで手に入る物なのに。文化を売るな!井川さんは訴えます。

スマホの待ち受けを鏡餅に。クリスマスにはすき焼きを。団地にひとつ、畳の部屋を。そんな風に、「お前やっぱり、文化があるな」ってところにグッときちゃう。そんな井川さんです。文明一辺倒になってはいないか、というお話でした。

本来、日本人は多様性を受け入れていたのかもしれません。けれど情報化社会で単一、専門、もっぱら同じにまとまろうとするようになった。そのことが世の中を生きにくくさせているのかもしれません。広葉樹、針葉樹、色々ある雑木林の方がいい。「雑」とはつまり多様性だと、最後にこんなお話をして、この日はお開きとなりました。

日曜日の朝、濃密な2時間を終えて渋谷の街に出ると、少しだけ世界が広がったように思えました。よかったら通りすがりに、聞いていきませんか?

次回は12月29日(日)です。

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井川啓央
Ikawa Yoshihiro

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