ある弁護士のはなし

昨日、マメヒコのお客さんでもある弁護士の方と話をしたんです。
小さな事務所を開業されてる民事専門の女性弁護士です。

その方の話が、とても示唆に富んでいたのでした。


「ワタシはですね、なんていうか加害者の気持ち、被害者の気持ち、どっちもわかる弁護士でいたいんですよね。
いたいというより、加害者の気持ちもわかってしまう。
ああ、確かにそんな孤独だったら、法を犯すようなことをしてしまっても無理ないわね。
というそんな気持ちになる。
だから、加害者、被害者、その両者を見て、その気持ちがどこに着地すれば解決となるのか。

そればっかり考えて仕事してます。

たとえば。
男性がとても離婚したがってるの。妻の他に好きな女性もいるしね。だけど、奥さんが別れるって言わない。
それで、いま、離婚裁判を請け負ってるんですけど。

奥さんにも言い分がおありだろうから、って詳しく話を聞くじゃないですか。
夜叉みたいな顔で猛烈に怒ってるわけね。
夫を許さないと。
でもね。要はあとがないってしがみついてるんですよ。夫と別れても、お金も生活もあとがないんだと。

もうね。夜叉よ。まだ30そこそこだけどね。
まぁいつまでたっても、話し合いは平行線のままね。
それでね。その夫婦には、まだちっちゃいお子さんがいて。

あるとき、その子供をあやしてるのを見たんです。
するとね、いいお母さんなのね。
お子さんもお母さんの前ではのびのびしてる。

あぁ、あんな夜叉みたいな顔したけど、いいお母さんでもあるだなって。

そう思って見てたら、顔もかわいんですよ。
それでね。よしっ、これだ。って解決策を思いついたの。

事務所にいる男性弁護士たちに聞いてみたのよ。


「ねぇねぇ、あの奥さん、イケる?って」
「イケる?」
「女としてアリかってこと」
「ああ、ぜんぜんアリっすね。かわいいっす」
「ほうほう」


そういうやりとりがあって、男性に、あの奥さんを、女として見てあげなさいと言ったの。

そしたらね。奥さん、変わってきた。
推測ですけど、旦那と別れても、あとがあるかもと思えたんだと思うの。
だって、あとがないと思ってたからしがみついてたんで、あとがあると思えばしがみつかないでしょ」

なるほどな、と思いました。そういう解決策があるのかと。
聞きながら嬉しくなりました。

ボクはここのところ法の内側と外側、そんな話をよくするもんですから、
法は限界なんじゃないか、法にできることなんて少ないんじゃないかという話をしたんですね。

そしたら、こんなことをおっしゃいました。

「みなさん拡大解釈されてますけど。
法とはつまるところ人情と道理なんですよ。

だから人情で考えて、道理で考えてそれはおかしんじゃない?っていうことを、法律だから従えなんてことは、法は定めてないんですよ。

法は、自由に楽しく生活する権利を補償してるわけです。
法を守るには人間を見てあげなくちゃいけない。

寂しくてこじれたヒトには、寄り添わなければ、法は守れないの」

人間が集まって、感情がこじれて、寂しいくせに突っ張って、だからますますややこしくなって。

弁護士事務所もマメヒコも扱ってるのは人間なわけだから、
ヒトを見なきゃ解決にならないのは、おんなじだよなと、妙に納得したわけです。

人間とはかくも複雑で、かくも単純で、かくも恐ろしく、かくも愉快なんですね。

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