今、目下、マフィンを試作していて、最終の微調整をしているとこです。
今年に入ってね、マフィン、カトルカールのケーキの自分の中の基準が崩れ去った経験があったんだよね。
焼き菓子はお土産には欠かせないので、20年、この世界で何度も作ってはいるんだけど、ついこの前まで、バターケーキは焼きたてが美味しい。時間が経てば、どんなバターケーキも劣化する。だからバターケーキは新しいに限るって思ってた。
それでね、焼いたパウンドケーキに洋酒シロップを染み込ませるというのを編み出したんだよ。
今も、MAMEHICOのパウンドケーキとして売ってるんだけど、これはバターが冷蔵庫で締め固まり、程よくシロップが染みて、ブランデーの香りと共になんとも言えない美味しさなんだよね。
洋食屋紫香邸の時に、お客さんにお土産として出した。これは大層美味しくてね。
これは美味しいと言ってたんだけど、バターケーキはシロップを染み込ませないと劣化は避けられない。お店としても日持ちの良いお菓子を売りたい、生菓子よりも焼き菓子を売りたいのはお菓子屋さんの本音だったりするわけ。
カトルカールというのはフランス語でキャトル、4ということだけど、卵、粉、砂糖、バターが4分の1づつ入るのがバターケーキ、カトルカールっていうんだよ。これを、1ポンドずつ入るということでアメリカではパウンドケーキという。
そんな難しくないんだけど、焼き上がるとどうしてもぱさつくことがあって、う~んと思ってたんだよ。それがシロップを染み込ませなくても、レシピによっては時間がたっても美味しくできるんではないかと、いくつかのマフィンを食べた中で思いついた。でも、これが難しい。
それが本当にちょっとしたことなんだよね。自分が今まで思っていたパウンドケーキなんかからしたらえっ!と思ような食感にするにはいろんなコツがあったということなんだよ。
コロンブスの卵という諺があるけど、やってみるとなんだそんなことか、ということが思いつかない。先入観と思い込みでそうなっちゃうんだよね。
お客さんに真剣勝負で向き合ってると言っても常に不完全だとも言えるよね。
常に物事は不完全、だからこそ完成を目指す。
これを、最近マフィンのおかげで知りました。