金無きときの脳頼み

今日もまた打ち合わせに次ぐ打ち合わせ。
渋谷店のメニュー開発を三茶のマメヒコで。
銀行さんと新たな融資のお願いを事務所で。
渋谷の内装の打ち合わせを家具屋さんで。
あとは来週月曜からニューヨーク、台湾へと
連ちゃんで行くので、日程の確認やら荷物の手配など。

連日あんた何をそんなに打ち合わせしてるの?
そうね。
特に何してるんじゃないね、ただただ話ししてるだけ。

関係ある話し、関係ない話しを延々話す。
だから忙しいようでほんとはそれほどでもないの。

新メニューについても散々話した挙句決まったことといえば、
マメレットをもっといっぱい色んな種類作りましょうっていうね。
大人が集まってそんくらいのこと決めるのに何時間もね。

でもこれがとても大事なにょ。
たとえば家具の打ち合わせ。

いまね、正直お金が足りないの。
銀行やらに頭下げてみたりしてお金借りに行ってるんだけど、
思ったより貸してくれないのね。

銀行っていうのは雨が降ってるところでは傘をたたみ
晴れてるところでは傘をさすっていうけど・・・ほんと。

思ってたより1千万くらい足りないの。

これは由々しき問題で、もしかしたら開店できないかもしれないんだよ。
あっこんなこと書くと、親切な不動産屋さんと大家さんが青ざめちゃう。
ウソウソ。
なんでもいいならできるけど、
自分が納得できるような店を開店するのは難しいということ。

今回の渋谷の目玉はね、7mもあるマメの木のテーブル。
アフリカのでかいマメの木をそのまんまテーブルにすることにしたわけ。
これが車が買えるくらいの値段がするんだけど、これは絶対にやりたいのね。

ほかには、
床には楡(ニレ)の無垢木を全面貼ろうと考えているし、
三茶にもある棚の、もっともっと大きな棚を作ろうとも考えてるのね。

ほかにもまだまだ色々とやりたいことがあるけど、それをやるには、
ゼーンゼンお金が足りないのね。ほんとに。

で。やっぱりなにかを諦めなきゃならないんだけど、
諦め方にも2通りあって、少しずつグレードを落として、
たとえば無垢のフローリングにしたいところを既製の安い
フローリングにするとかさ、細かく細かく削っていくという方法と、
あとは完全に辞めちゃうというね。
棚を作るのを辞めちゃうとかさ、大きいテーブルを辞めちゃうとかね。

でも、どっちのやり方もヤなにょにょ。

だから延々と話しになっちゃうわけ。

無理ですよ。
・・・無理かな。
無理です。
・・・無理だろうか。
無理。
・・・どうして。
無理でしょだって。
・・・無理だよね。
無理です。

予算はこれしかないし、
だけど安っぽい棚を作るのはヤだし。
棚は辞めたくないし。
わがままなんだけど、これを通しちゃう。

あーでもないこーでもないで、みんなギリギリまで考えると、
「だったらこれはどうですか」って違った発想が出てくることがある。

出てこないことも多いけど、出てくるまで、できるだけお茶飲んでニコニコして粘る。

昨日、考え付いたのは、
棚なんだけどカウンターテーブルで、
カウンターテーブルなんだけど棚。っていうもの。

なんでもかんでも実物を作るんじゃなく、
お客さんの想像のなかで棚を作らせるの。
あたかも棚があるように思わせるの。
そんなことできるの?
できるよたぶん。

人間にはイメージを補完する能力っていうのがあるから
棚の一部だけ作れば、後足りないところはお客さんの想像力が補完する。

この前ローマいったんだけど、街のいたるところに遺跡があるのね。
でもどれひとつとしてまともな形で残ってないの。
あたりまえだよ2000年くらい前のもんなんだから。
柱しか残ってない神殿だったり、腕とか鼻のないビーナスだったりね。

でも、うわーって思うもの。
柱しかなくてもすごい神殿なんだと思うし、鼻が欠けたって美しいと思うもの。
そのことを思い出したわけ。

だから一部でも、不完全でも、完成度の高いものを作っていたなら
人間は完成になるように脳の中で補うんだから。
お金のないところはこの際開き直って、あとはお客さんの脳みそに頼ろう。

「客の脳みそは金かかんないんだから目いっぱい使うべきなんだ」
と夜中に力説してお開き。

自分の脳みそこそタダなもんだから目いっぱい使ってんの。

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