「君ね。溜息ついて、困った困った、って言うけどな。
困る。
それこそが生きるってことなんだよ。
あぁ、どうしよう、絶体絶命だ。
これは、まずいぞ、終わった。
そう思うことが、そのまま、
生きてる、ってことなんだよ。
この歳まで仕事を長くやってると。
仕事面では、思い通りにやれる。
何をやっても、うまくいくんだ。
体はガタついているが、仕事は概ね順調だ。
若い君からすれば羨ましいかもしれない。
けどな。けどよ。
それはキツイことなんだぜ。
困らないなんてのは、羨ましくもなんともない。
半分死んだようなもんなんだぜ。
この歳になってみると、
それがわかる。
それが、よくわかるんだよ」
だから、君もがんばれよ。
オレだってこれで終わるつもりはない。
なんてことまでは、言わなかったけれど。
君に、告ぐ。
そんな感じでした。