ボクはダレ?

今日は朝から、コルクの佐渡島くんが店に来たのでちょっと話した。

彼はちょいちょい、マメヒコに来てくれているみたいで、彼が連れている友人に、

「マメヒコの取り組みはいろいろ面白くてね、それってこの井川さんが全部考えてるんだけど、これだけ面白い井川さんに、小説を書いてほしくてね」と力説してくれた。

その連れのかたは、佐渡島くんがとても力説したので、初対面のボクに対し、そうですか、すごい多才な方なんですね、とニコニコ受け入れてくれてる。

ところがさらに進んで、

「マメヒコの席料って、すごい面白い仕組みですよね」
「ん?あぁ、お豆賃のこと?あれはね、もうとっくにやめたよ」とボク。

「えっ?いつなくなったんですか」
「えって?いつも来てるんでしょ?とっくにやめたよ。気付いてないの?」
「マメピコしか頼まないんで」
「!!!!」

 

てな具合で、佐渡島ですら、ぜんぜんついてきてない。
うちがどんどこ変えすぎているからですかねー。彼は、ちょっと天然なところもあるけど。

まぁね。なにはともあれ、お客さんにボクラ、マメヒコがやってること、やってきたこと、ゲーテなんかでやってること、ましてやその演出意図、企画意図なんかは、ちーーーーーーーっとも伝わってないことは間違いない。

つまり、井川啓央なんて、だーーーーーーーーーれも、なーーーーーーーにも知らないってこと。
では井川啓央ってなんなんだっ!!

「マメヒコのオーナーさんですよね」とたずねられるたびに、戸惑ってしまう。
たとえば競争馬のオーナーを馬主と呼ぶけど、馬主は馬の調教はしない。調教師というのが別にいる。ボクは馬主か調教師なら、間違いなく調教師に近い立場だ。

だから、ワタクシが何者であるかということをはしょって、いきなり「カフエ マメヒコの井川です。あのねー、ボクはさー」なんてやるもんだから、多くの皆さんに、「こいつ誰?」とスルーされてるに違いない。

名前には、無名、匿名、実名がある。

ボクからすれば、お客さんはすべからく無名だ。お客さんからしてもボクは無名だろう。カフエ マメヒコは知っていても、井川なんてだれも知らないだろう。

無名のなかから、時折、あだ名が付くことがある。お客さんの場合でも、(赤いメガネさん)、(まずトイレさん)、(サミエルさん)、(窓際さん)、(斜め帽子さん)・・・。無名から匿名になると親近感が湧く。

さらにその匿名さんが、ひょんなことをきっかけとして実名になる。

「今日たまたま病院に行ったらね、看護婦さんがいて、ずっとこっちを見てるから、だれだろって、こっちもよーく見たら、なんと!!!!
赤いメガネさんだったのー。ウソー、えー、あらーって、互いになって。びっくりしちゃったー。
名前は山口桃子さん。なんとなんと、ワタシと同じ年だったんだよー」

さてさて。ボクはときどきイベントをやる。大抵は、自分の店でやるので、基本的に名乗らなくても構わない。参加するお客さんのほとんどもボクのことを知っているので、いつも、いきなり本題に入っちゃう。

だけど、近頃それでは困ることがある。外でイベントをやるからだ。4/24にやるキャロットタワーのイベントもそうだ。

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そもそも外でやるのだから、自分のことを知らないヒトに自己紹介しなくてはならない。そしてそもそも、自分のことを世間の殆どが知らないことをもっと自覚しなくてはならない。

「はじめましてワタクシ、マメヒコというカフエをしております、井川と申します。井戸の井に三本川の川でございます。今年で45歳でございます。丑年です。AB型の蠍座です。えーー、そのマメヒコというカフエですがね」という練習をしなくてはならない。

あーーーー。「カフエ マメヒコ井川啓央」で通じない世界は・・・とてもめんどくさい。

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