「ゲーテ先生の音楽会」の台本を読む会
「ゲーテ先生の音楽会〜先生、どこの★から来たの?」の公演まで1週間を切りました。
15日には恒例となった台本を読む会が開催され、ゲーテファンのみなさんが集合。一足先に今回の台本を読みました。
今作は、洗濯機の登場で時間の使い方に変化が生まれ、その結果、家族にもたらしたものは何だったのか?というお話。増原さんがゲーテ先生と蘭鳥という一人二役を演じることや、少女歌劇団だったなっちゃんがママ役で登場するなど、これまでとはちょっと違ったお芝居になりそうです。
ミヒャエル・エンデの「モモ」で描かれる時間泥棒のお話を交えながら、この台本の意図するところや、伝えたいメッセージなどが語られます。さらに、これを舞台の上で演じるキャストの苦労についても。特に洗濯機の登場で生活がガラッと変わってしまうママ役の変化は、表現がとても難しいようです。
最後は「認知負荷」のお話に。誰しも美男美女が好きだとは思いますが、これは顔が左右対称であることで脳が情報を簡単に処理できるから、ということなのだそうです。これは認知負荷が低い状態。万人に受ける作品や、多くの人が手にする商品というのは、認知負荷が低いということになります。一方、ゲーテといえば、毎回何が飛び出すか分からない先行きの不透明さがあり、認知負荷が高い作品ではありますが、それが面白さでもあり、クセになるというお客さんがたくさんいるのです。
お稽古の様子
台本を読む会のあとにはお稽古がありましたので、その様子をちょっとだけご紹介しましょう。
キャストのみなさんは、演技については素人同然。ただ書かれたことを読み上げるだけではなく、間合いや動き、声の抑揚、誰に向けてどういう感情で発している言葉なのかなど、セリフの1つ1つに井川さんの演技指導が入ります。そのたびに、自分なりの解釈で台本の意図に近づけようと試行錯誤の演技が繰り返されるのです。
声と表情だけで演技をするには、それなりの訓練が必要。そうでないゲーテのキャストたちは、感情を動きで表す必要があります。ただ無意識でセリフに身振り手振りがくっついているのではなく、井川さんの演技指導を踏まえた表現なのです。ゲーテをご覧の方は、ぜひお芝居の細かな表現についても意識してみてください。
今回、井川さんはヨシヤという子供の役で登場。ストーリーを進める上で重要な役柄であり、これは音楽で言えばメロディにあたります。一方、ヨシヤの友達としてレイナ、ショウタが登場しますが、2人はいわばコードのようなもの。ヨシヤのセリフを後押ししたり、重みを持たせたり、際立たせたりといった役割があるのです。
これは音楽をやっている人に分かりやすい例え話でしたが、井川さんは必ず相手がイメージしやすい言葉で演技指導をするので、聞いている方もフムフムと理解しやすくなります。
お芝居の世界といえば、「もっと感情を込めて!」と抽象的な言葉でゲキを飛ばすような熱い現場をイメージしていましたが、井川さんの演技指導はとてもクールで理論的。台本に書かれているのはほぼセリフだけですが、井川さんの頭の中には緻密な設計図が用意されているのです。その設計図を断片的に読み解き、1つの作品としてみんなで組み立てていく過程はとてもエキサイティングですね。
とはいえ、設計図をなぞらえるだけがゲーテではありません。お客さんの反応、会場の空気感、口をついて出るアドリブで、意図しない方向に転がることだって珍しくありません。それもまた、認知負荷の高まりを楽しむゲーテの醍醐味です。
さて、いよいよ今週末。どんな舞台になるのでしょうか?みなさま、銀座SOLAでお会いしましょう。
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