中年のおじさん二人が、秋の公園でぼやいています。
「いちいちお金かかるんすけどね」。
なにか考えがあって、考えがなくても、行動しようとするとき、お金がかかります。
どんな良い考えだろうが、悪い考えだろうが。
電車に乗る。お茶を飲む。おまんじゅうを食べる。小さなスプーンを買う。
雨風しのいで寝ましょう、ってだけでもお金はきっかりかかります。
とにかく、いちいちお金がかかります。
そのいちいち、いったい誰が払うんでしょう?
「プロジェクト経費として、しかるべき処理をすればいんでは?」
あーた、なに眠たいこと言ってんの?
なにもかも勘定科目に照らし合わせて処理する、そんなことできっかよ。
「うちは細かいとこまでちゃんとやってるざます」
あぁ、そうっすか、ご苦労さまっす。
スムーズに物事を進めるため、
時間を節約するため、みんなの志気を上げるため、
そのいちいちに、ちょっとしたお金はかかるものなんです。
とくにね、新しく何かを始めるときは、
見通しが立たないためにお金はジャンジャン出ていきます。
まったくもって遠回りだった、無駄道だった、引き返そう。
途方に暮れることが多く、気持ちの落ち込みに合わせて、
いちいちお金がかかるものなのです。
とにかく、いちいちお金がかかります。
そのいちいち、いったい誰が払うんでしょう?
覚えておいてください。
道なき道を歩むとき、
かかるコストは旗持って先頭歩くやつが払うものなんです。
旗を持って先頭歩いたこと無いヒトには関係ありません。
払うだけ馬鹿らしいお金です。
「旗を持って歩いてる、その名誉を金で買ってるってことね」
あへた、まだ眠たいこと言ってるの?目ヤニついてるよ。
そういうことじゃないわけよ。
まぁ、いいわ。
新しいことを始めるには、そのいちいちにお金がかかり、
旗持って先頭歩いてるやつが払うということだけ覚えといて。
「旗持って金まで払うなんて馬鹿らしい」
いやいや、ほんとそのとおり。
その後ろをついて歩いて、文句言ってるのが一番てはなし。