『ヒューマニズムの經濟學』 について③

レプケが問題だと言った病気は、現代文明病です。
具体的には、

・プロレタリア化
・大衆化
・アトム化
・全体主義

ではこの病気について、ひとつずつ説明してくよ。

■プロレタリア化とはなにか

プロレタリアートっていうのは聞いたことあるね。
これは、

「財産を持たず、みずからの労働力を
資本家に売ることによって生活する階級のこと」

これは資本主義の台頭とともに生まれた階級なんだよ。
それはどうしてかというとね、
「伝統的な中産階級が解体され工場労働者に転落したことが発端」とされている。

■プロレタリアートが生まれた理由

イギリスで産業革命が起きた。
大規模工業が起き、大量生産が可能になった。
それによって世の中は、農業中心から工業中心へと移行したんだ。

国家は農村にいた人々を都市部に移動させ、農村の共同体を衰退させた。

工業が発展したね。その後は相次いでテクノロジーが進歩してなにが起きたか?
人口が増加したんだよ。

そして国家は国際競争力を高める上でも、大規模経営を優遇するようになった。
そして、都市化はとめどなくなり、農村は完全に解体されてしまった。

こうして人口増加したことによって、
プロレタリアートを大量に生みだすことになった。


■プロレタリアートは大衆化する

農村の解体はなにをもたらしたか。
「家族」、「職業」、「隣人」、「自然」、「伝統的な共同体」から解放された「アトム(原子)」がいっぱいできた。

わかりやすく言えば、

「アトム=根無し草」ってことだよ。

他人とのつながりもない、バラバラになった人間のことだね。
大量に生まれたプロレタリアートはアトムとなって顔のない集団、
大衆となったんだ。

大量に生み出されたプロレタリアートは大衆化したんだよ。


■財産を持たない大衆

この大衆は財産を持っていないと言われてるよ。
その財産とはなにか。二つの意味の財産がある。

財産を持たないとはふたつの意味である。
ひとつは物質的な意味。

「個人が実質的に、土地、家、金品などの財産を持っていないこと」
もうひとつは、
「個人が精神的に、友愛関係、よりどころ、所属先などの財産を持っていないこと」
だね。

こうして財産を持たない大衆は
自分の生きる意味をどんどん見失って孤独になっていくんだよ。

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