第3話-Act.3 配信されました

こんにちは、制作の坂本です。
第3話 Act.3が配信されました!

前半はシリアスながらも、
後半はコメディみたいで、
あっという間に感じます。

マイコが作る太巻きがとにかく印象的で、
作る過程はジャンプカットで繋がっていて、
ラストは太巻きの寄りの絵で終わる。
大人数での食事が減っているこのご時世、
何本もの太巻きって、需要がない気がします。
寂しいですね。

ちょっと裏話です。
太巻きのシーンをよく見ると、
テーブルの上に梅干しがありますね。
セツオが持ち寄った、
手作りの梅干しという設定です。

が、しかし。
準備していた手作りの梅干しを
ロケ現場に持っていくのをうっかり忘れ、
急遽、コンビニで調達したものが並んでいます・・・。
これがまた、変に甘いだけで、
大して酸っぱくもないし、しょっぱくもないのです。

なので、種を抜いてみて、出来た空間に、
塩を詰め込んで、しょっぱい梅干しを作りました。
それぞれが食べるカットも撮影したのですが、
本当に美味しくなくって(そりゃそう)残念でした。
編集されてどんなシーンになったのか心配していたら、
なんと梅干しは丸ごとカット!
梅干しのシーンがあった理由は、
なんらかの表情が欲しかったんだろうと思われるので、
太巻きで十分に良い表情が撮れたので、
それで終わりになったのではないか、と推察してます。
(塩詰めの梅干しを食べるときの表情が
微妙だったのかもしれないけど)

太巻きを食べているマサシの笑顔は、
大江くんの笑顔でもあります。
みんなで、太巻きやおかずを本当に食べながら
ゲラゲラと笑っているときに、カメラを回していたのです。
あぁそんな現場の雰囲気が、
きちんと作品に入っているなと感じました。

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この間の土曜日は、冬の公園でのロケでした。
セツオとクミのシーン撮影もあったのですが、
2ページだけの1シーンで、計45テイク。。。
「カット4、テイク20、よーい・・・!」の
コールが遠くから聞こえてきて、くらりとしました。

スタッフ目線でいえば、
正直、テイク数は増えて欲しくないもの。
機材のバッテリーがどんどん無くなっていくし、
日中であれば日差しが変わっていくので、
カットの繋がりも悪くなってしまう。
ロケスケがどんどん押していくとき、
撮りこぼしが発生しそうで、そわそわする。
そう、何がなんでも、撮り終えたいのです。

テイク数が増えれば、
データ数も増えるので、
データ管理も面倒になります。
土曜日は、100近いデータ数が
保存されたSDカードが計4枚。
このSDカードのデータを、
外付けハードディスクへコピー。
そして、記録表を見ながら
OKテイクを確認して、
YouTubeに限定公開して、
役者とスタッフで共有します。
昔の映画制作でいうところの
ラッシュでしょうか?

(ちなみに、編集用のデータとして、
井川さんにバトンタッチするまでには、
データの吟味や整理等、まだやることがあります。
撮影日には、ひとまずデータの
バックアップ作業をするのが、何より大事。)

データ数を増やしているクミは、
紛れもなくこの私です。
この上ない自業自得で、
虚無の気持ちでいっぱいになりながら、
YouTubeにOKテイクをアップしました。

ただ、役者目線でいえば、
テイク数が増えても、得るものも多いのです。
セツオとやっていると、彼は試行錯誤の人なので、
1テイクごとに細かく演技を変えてきて、
クミとして新鮮に感じる瞬間が毎テイクあります。

で、その感覚がどう写ってるかな〜なんて、
いくつかのデータを確認してみると、
どれも大して変わらなかったりする不思議。
あれ、勘違い???と、宙ぶらりんの気持ちです。
こんなにはっきりとした感覚で残っているのに、
動画にも音声にも残りにくい、
何かがあるとしか思えない。。。
いや、でも、ドラマである以上、
データが全てです。データが正しい。
データに残るように、何かを表現して
残さなくてはなりません。

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一口にデータといっても、
現場でカメラで確認するデータ、
素材としてパソコンで確認するデータ、
編集されてYouTube配信されているデータ。
そりゃ色々あるけど、どれも全部違う印象です。
素材と作品が違うことは分かるけど、
編集されていることを差っ引いても、
こんなだったっけ????と
不思議に感じることがあります。
編集の手が届かないような、
何らかの意志がデータにあるのかと
疑ってみたくもなります。

現場でスタッフやっていたら客観が混じるし、
役者をやっていたら、主観までもが混じる。
いち視聴者として、
なーんにも考えずに見ることは出来るけれど、
純粋な視聴者に、私はなれないようです。

制作と役者、主観と客観、
相対するようなものを考え続けていると、
「自分」ってなんだろう?
と、本当に自分が分からなくなります。
あれ、そもそもこの疑問も
私のものなのか、クミのものだったのか。。。

「普段通りに演じれば良いんだよ!」
このアドバイスほど、
役者として混乱することはありません。
普段の「自分」ってなんだろう・・・。
さぁ、迷宮入りです。

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抽象的な「自分探し」なんてせずに、
セツオのように、梅干し漬けたりと、
地に足をつけて、暮らすのが良いのでしょう。
生きる意味を考えるより前に、
ちゃんと生きなければならないのと同様に、
「自分」なんて考えてみても、
きっと分からない存在だと思うのです。
「自分」に目を向けるより、太巻き作ったりして、
「他人」との関係を築いたほうが、
「自分」が構築されていくのだと思います。

それでは、また来週〜!
ロケ地に到着したら、朝も早くから、まかない部が庭で揚げ物をしていて笑いました。太巻きも美味しいし、揚げたての唐揚げも美味しかったな。
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