不作為犯

不作為犯

一般的に、罪とは何かをした罪のことでしょう。ヒトを殺した罪やモノを盗んだ罪とか、してはいけませんよということを犯すと罪を問われる。対して「不作為犯」というものが刑法にあって、何かをしないことによって成立している犯罪のことをいう。これはとても示唆に富んでいるとボクは思う。
例えば、子供が溺れているのに親が助けないで死なせてしまった場合は、不作為犯にあたる可能性がある。当然親にも不可抗力があるという事情は考慮されるから、親が全く泳げない、何かの下敷きになって助けたくても助けられなかったとか、助けなかったら全て犯罪ということになることはない。でも、助けられる立場にいるヒトが何もしないのは罪だということだよね。社会は相互扶助で成り立っていることが前提で、法律は作られている。
現代社会は、みんな余裕がないから、自分が困りきっているのに他人を助けられないのは分かる。そもそも、困っている人が困っていることを助ける人に伝えられなければ、不作為犯にはならない。つまり助けを求められているのを無視したら罪だけど、知らないところで黙って溺れていたら不作為犯にならないということ。だから「助けてここにいるの!」というのと「だったら助けるよ!」というのがセットになって人間社会というのは築かれていく。自分だけが良くて、困ってる人のことは全然知らないよというのは、社会としては認められないことなんだよね。それをこの不作為犯、やればできることをやらない罪というのは教えてくれるね。

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