虫養い
「虫養い」って言葉があるんですよ。
腹の虫を養うっていう意味で、ちょっと小腹が空いてお腹の虫が、ぐーっと鳴るとき、その世話をしてあげるために食べるという意味。
例えば、みんなで作業をしていて、小腹が空く時間帯に、虫養いでもしましょうかと言って、みんなでちょっとしたおやつを食べる習慣というかな。
今、マメヒコは14時から15時の間は、お店を一旦閉めて、スタッフの休憩時間としている。
マメヒコでは、ボクが作ったお弁当をお客さんやスタッフが食べる「お弁当クラブ」があるの。スタッフは、休憩時間にお弁当を食べるんだけど、お弁当クラブのお客さんも、休憩時間にずれ込んで食べていいことになっているわけ。
これはね、やっぱりいいんだよね、なんか違うんだよ。
みんなで同じものを食べている、同じ方向を向いている人たちと同じようなものを食べて、ああでもない、こうでもないと言う。
自分の中の腹の虫を養うっていうことを、みんなでやるっていうのは、なんかやっぱりプリミティブなところがあると思う。
プラトンの「魂の三分説」によると、頭は理性、胸は意思、腹は欲望で、つまり食欲は欲望。
これをみんなで養っていく工夫って、ボクはとてもいいな、と思っている。
お弁当ってリモートでも、テイクアウトでも、それぞれが別の場所でも食べられるという利点があるから、現代の生活にとても合ってると思うのね。
別の場所でも同じものを食べ合うということは現代の生活にもマッチしているし、気持ちが繋がっているという精神的なものも満たされるからね。
昔の人のささやかな欲望と意思みたいなものを両方上手く片付ける「虫養い」って言葉は、すごく知恵があるし、奥深いなと感じています。