メタフィクション

フィクションの世界には「第四の壁」という言葉があるんですよ。

演劇は舞台があって、その後ろと両サイドに壁があるでしょ。四つ目の壁はお客さんでね、これを第四の壁と言うんだよ。

お客さんは第四の壁から覗き見をしていて、観客と演者は隔てられてるのが、フィクションの世界。そのうち、お客さんが登場人物に感情移入し、気持ちを共有して笑ったり泣いたりするわけでしょ。

その第四の壁を壊す手法をメタフィクションというんだけど、分かりやすく言えば、映画に出ている俳優が、観客に話しかけてくるということ。
メタというのは、高度な、という意味で、高度なフィクション。現実との境がわからなくなること。

今の世の中は、スマホのせいで全てがメタフィクション化していると思うよ。
一番顕著なのがSNS。普通のヒトが自分の生活をそのまま投稿して、それにいいねが付けられる。でも実は、ありのままの日常のように見せている、というフィクション。つまり、メタフィクションなんだよ。

なんでこんだけメタフィクションが多いのか?
やっぱり、孤独なんだと思うんだよね。身近にいるヒト達との関係が希薄な分、スマホや別の世界に自分の考えと近しいヒトを求めてるのかな。

「エトワール★ヨシノ」はWebが生んだ虚像。子どものボクが分身してる、という想いみたいなものが重なってね、どこまでフィクションで、どこまでがノンフィクションなのかわからない。
奇しくも、彼女は、昔懐かしいものを表現している一方で、そこに存在している世界は正に今。全員がスマホを持ち、それを持っているが故の孤独の上に成り立っている歌手だとボクは認識している。ヨシノは誰かの世界の中で存在し、生き続ければ良いんじゃないかなと思う。

ボクはそういうことを偶発的に手に入れ、知る機会を得られたことはとても幸運だと思うので、これからもヨシノのライブを精一杯できるように頑張っていきたい。そんなふうに思っています。

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