昔からのお客さん

ある日の売り上げ報告を読んでみますね。

「公園通りはいつも通り静かで、いつも通りのみなさんがお店に立ち寄ってくれて…
その中の一人のお客さんに、『最近、マメヒコの料理の腕が上がっていてドキッとする。食べ物にちゃんと意思を感じる。今までのものも間違いなく美味しくて大好きだったけど、今の方がずっと好き!』と褒めてもらいました。」

という売上げ報告なんだけどね。コロナになって、売り上げを見込めないと腹を括ってから、本来やりたかったことをやるようになったところ、売上は立たないにしても、スタッフは自分達で考えるようになっている。

それを、昔からのお客さんほど感じ取っているんだよね。

お店を始めたのは2005年の7月1日。最初は、誰もお客さんが来なくてね。ボク自身もお店に入っていたけど、接客はしないので、お客さんと親しくなることはなかった。2011年の震災以降、イベントでもやってお客さんを集めるか、となったけど、自分は乗り気じゃなくてね。カフェというのは誰かの日常の一部にあるわけで、いちいちオーナーが出てきていろんなことを言うのは無粋だと思っていたんだよ。でも、それが今のお客さんとの出会いに繋がっているんだよね。

10年前からマメヒコに通ってくれていて、昔こんなメニューがあったとか、たまたまやったイベントの時にひょっこり参加して、それがきっかけなんですなどと言ってくれるお客さんがいるわけ。
うちの弁護士をやってくれているお客さんも、ボクが作った冊子を読んで連絡をくれて、弁護士事務所はマメヒコみたいにしたいな、なんて言ってくれてね。

木の年輪ってあるよね。丸太になった時、ひとつずつ輪っかになっている輪っかと輪っかの間までが一年だと聞くと、途方もないなって思うけど、丸太として切ってみると、それがちゃんと、ひとつの年輪として刻まれているのが見えるというのは、人生というのは短いようで長い。そんな気がしますね。

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