トミーはとても稀有で上手な女優さんだと思います。ボクが言うんだから、間違いないと思います。
基本的におべんちゃらは言わないので。
ボクが最初に彼女に会ったのは、マメヒコの映画に出てもらう役者を探していたときだから、もう、かれこれ5年になる。それからうちでずっとアルバイトをしながら、なんとかかんとか頑張って、地道に地道に、ようやく月九に出ました。(月九がどうということもないけど)
なんていうか、とても真面目な性格で、「大メシ食いのどんとこい」という役をやらされることが多いけれど、ほんとは、とても気の小さい、繊細な女の子です。
一作目の「紫陽花とバタークリーム」を撮ったときに、賑やかしの役だった彼女の芝居を見て、「あっ、ほんとは、こういう役じゃないほうが活きる」と思いました。
なので、二作目の「さよならとマシュマロを」では、震災の津波で妹を失くす、とても繊細な役をやってもらいました。
トミーはこの映画の主役で、この映画の彼女の迫真の演技は、何度見ても、心動かされます。
〈といっても、ボクは過去の自分の作品は、けして見ないので、人づてに聞いた話ですが〉
そんなこんなで、彼女なら見たことないような一人芝居ができそう、じゃぁ、宇田川のマメヒコで、いっょやってみようじゃないのと書いたお芝居が「お天道さまとお月さま」です。
まぁ、このお芝居も最後はグッとくるところがあってね。とても良い芝居だったと、ボクは思います。(なにせ自己評価ですいません。庭先でマグロを釣ったと言っても証人もいないので、信憑性に乏しいのですが)。
これがもとで、ここでお芝居をやることになり、ゲーテ診療所シリーズに続くわけです。
映画を撮ったりしながら、ボクはマメヒコでフリーペーパーM-Hicoを並行して作っていて、そこに書き下ろしをお願いしていたのが、羽賀(翔一)くん。
「漫画 君たちはどう生きるか」の作者として、最近、賑やかです。
当時の羽賀くんは(と言ってもつい最近だけど)、ちょいちょい会っていて、「お天道さまとお月さま」を見に来てくれたりもして、そしてとても感激してくれて(とても飴細工のような繊細な男の子です)、その流れでゲーテ先生も見に来てくれて喜んでくれたりして、いろいろと将来についてなど話しをしたのでした。
ボクは映画版ゲーテ先生を撮るということになり、さらにトミーに看護婦の役をやってもらおうと計画していたので(結局、実現しなかったけど)、羽賀くんに映画の宣伝用のポスターをお願いしていて(結局使わなかったけど)、ゲーテ先生と幻のトミー看護婦が共演する幻のポスターの下絵が、これ。
あの頃。
みんなは若かった。(といってもつい最近だけど)
ボクやマメヒコの周りにわずかでもいた若い子たちはどうしてるだろうと、いつも考えています。
ボクが非力で未熟で、そそのかしたのに、なんにもしてあげられなかったなという思いで、時々胸が痛くなります。
みんな縁が切れても、それぞれの自分の場所を見つけて頑張って欲しいと星を見て思う。
結果を出しているヒトが頑張ってて、そうじゃないヒトが、頑張ってない、とは、ちっとも思わない。
むしろ、仮に結果が出て、あれよあれよとなったとしても、自分がしたいと思うことに時間をかけれるようになったのか、自分がやりたくないことをやらないといえるようになったのかが、気になります。
君の弱いところをボクは知っている。
ほんとの自分には見えている、空気のきらきらした粒、を表現できて、
それが多くのヒトの共感を呼べるようになったなら、とても素晴らしいことだけど、そんな青臭いことはたちまち消えてしまう現実もきっとあるね。
そういう現実はむしろ、日に日に大きくなったりしてね。
トミーと、「お天道さまとお月さま」の再演をやることにしました。改めてお知らせしますが、
「お天道さまとお月さま」 5/18〜20 宇田川町店にて
です。
いろいろあった宇田川も、いよいよ終わりが近づいてるなと感じている今日このごろ。