物語を作る
僕のところには悩み相談がよくある。僕から何か困ってるの?と声をかけることもあるけど、人間というのは色んな悩みがある。で、中には大きな悩みに直面している人もいる。客観的に聞けば大したことないと思うけれど、本人はとても悩んでいる。例えば、愛する人と別れることになったとき。死んだ人に天国や地獄で出逢えるなんてない、と思うとすごく救われない気がするから、あの世で逢えるのだからそれまで頑張って生きようと物語れることがとても大切になるね。ヒトは年を取るにつれ、色んな理不尽なことに直面して、現実とは複雑で、人の心もとても複雑だという真理が確立する。ヒトは非常に多面性を持っているから、この人はこうだと決めつけられない。理不尽なことが起きたり、不意打ち的な形で人生は送られるから、結局のところ、自分の人生をどうやって物語るかでしか説明できない。
若いうちは自分がよくわからないから、そんな物語は気にせず自分らしく生きればいい。だけど自我を確立する中で、いつかは全てにおいて物語を作らなくてはいけない。だから、僕は神様は必要だと思う。神様は。複雑な世間ととても弱い自分との関わりにおいて、「自分はどこから来て、どこに行くのか?」という絶対にわからない問いについて答えを持っている。自分なりに物語として納得できる時に神様は必要でしょ。神様じゃなくても、ご先祖様でも、科学的な説明であっても、納得があるならそれでもいい。
なんであれ、ヒトは自分の人生を物語る必要があり、そのためになんらかの神、なんらかの形で、物語を物語る必要がある。とにかく自分の人生という物語が、自身の腑に落ちる、腹の中に納得感があるというのがとても大事だよ。なぜなら、あなたはあなたの人生の脚本を書いて、あなたの人生という物語を生きているわけだから。