とあるお客さんがいてね。彼の話が「ふむ、なるほど…」と思ったのでその話をしようと思います。
彼は塾講師をやっている。塾生の親は、いい学校に入れたいと高望みを言うけど、結果として、合格しない。すると、親が結果だけを見て、この塾に入れたけど成績は伸びなかった、親としてそれなりのことをしてやったのに、あんたがバカだからと子どもに言うということが往々にしてあるみたいなんだよね。
子どもを身近で見てればいろんな変化はあって、成長の多寡を偏差値というものさしだけで計るのはどうなのか?でも、塾の会社の方針としては成績を上げるのが第一義だから、そのことにきちっとコミットするようにと言われることにジレンマがあるという話。
ボクもかつて塾の先生をやっていてね。
姉妹で、上のお姉ちゃんがそこそこ優秀。下の子もいい学校に入れたい、とにかく成績上げてくれという親だったかな。下の子はおっとりして、成績もお姉ちゃんほどでもない。
ある時模試をやったら、難しい問題ほど解けてる。現場の肌感覚で、この子がこんなに良い成績であるはずがないと議論になった。調べたら去年の問題とほとんどおんなじ問題のところだけが出来てる。親の前では成績を上げなきゃという体裁があって、お姉ちゃんの問題を丸暗記して模試を受けたんじゃないかと。上のクラスに上げるかどうかということが先生の間で議論になった。ボクは上げたらいいと言ったんだよね。
そもそも、その子がそれほど追い込まれてることが問題で、その子には、あなたというヒトが成績とは全く関係ないところに魅力があることを伝えた方がいいじゃない。その後、その子は親が望む学校には合格しなかった。あの子は今どうしてるのかな…。
偏差値ではなくて、ヒトとして見ることは大事だよね。その子自身が不正をしたこともその子の変化でそれを見守ることが必要。でも、そういうことがされてない現場はいっぱいあって、その現場の先生も上には強く言えないという。
世の中の風潮なのかもしれないね。