Etoire
Yoshino
2020

【収録曲】

4,始まりの別離(わかれ)Farewell is beginning
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

あぁ離れがたき 思いこらえて
遠きかすみし 山を見上げて
別れ告げしき さぁ行かん

あぁ葉桜咲き 川面まばゆし
声も笑顔も そばにいるよで
散り降る春風切なく

背を押す風に 身をまかせ
歩んだあの日は 遠き雲
明日は違う風吹く 始まりの別離(わかれ)

さぁ手を放さむ 涙拭ひて
笑ひ歌ひし 日々は忘れむ
おのがししの道を行かし

背を押す風に 身をまかせ
歩んだあの日は 遠き雲
明日は違う風吹く 始まりの別離(わかれ)

【ヨシノからの言葉】

仏教の言葉に「生者必滅 会者定離」(しょうじゃひつめつ えしゃじょうり)というのがあるのね。
命あるものは必ず死ぬし、出会った者は必ず別れるっていう。
あーた、そりゃそうよね。
誰も死なないで、ずっと生きてたらそれはそれで怖いですよ。
わたしも、この言葉は普遍の真理だなってわかってます。
みなさんもうなずいてるから、わかってますとも、ですね。
だけどさ。
だけどね。
わたしが小さかったとき、初めてこの「生者必滅 会者定離」ってことを知ったとき、
到底受け入れられませんでしたよ。
だって、それはあまりに残酷じゃないですか。
せっかく生まれてきて、楽しく生きてんのに、どうせヒトは死ぬんだ、
どうせ愛したってやがて別れるんだ。
父も母もわたしを置いて逝ってしまうのかしらと思ったら、
寂しくて父と母の手を握りながら死なないでって、お願いしながら寝たこともありますよ。

学校でとても仲の良いお友達ができて、それなのに結局はいずれ別れてしまう。
そんなことあるもんか。
お釈迦様だかなんだか知らないけど、わたしは一生、大切なお友達と付き合ってみせるっっっ。
そんな風に思ったりしてね。
わたしたち、ずっとずっと友達よね。
しつこく何度も確かめたりしてさ。
わたしは子供時代、転校を繰り返した子供なんだけど、転校先に行ってもね、
仲の良い友達とは文通を続けたりしました。

だけどね。

時が経つうちに文通が途絶えたりするのよね。
そして再会なんかしても、かつての温度とやっぱり違ってたりする。
どっかで冷めた感じが互いにあったりして、もうそれぞれの道を歩いてるんだなって諦めて。

(ああ、お釈迦様の言う通りなんだ。
やっぱり、永遠の友情なんてものはないんだ)

って。
悔しい思いを何度もしました。
いまは枯れ葉が落ちるから新芽が芽吹く。
別れがあるから、新しい出会いもある。
なんて思ったりもしますけど。
これもまた真理なんですね。
人間て切ないですね。

それでは聞いてください。始まりの別離。

5,アゲハ Swallowtail butterfly
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

学校を休んだ日の朝に
いつもの公園
こっそり靴を履き 向かった
雨もあけて
止まってたしずかなブランコの
下の水たまりは
鏡のようだね アゲハが映った
空が見え 雲の切れ間から
幾筋も光が差し込む
アゲハ どこにいるの
立ち上がる 土の匂い

忘れたくなくて また来たんだ
大人になったボクは
冷たい鉄棒 温かい手 なじんでく
嬉しくて 悲しみの複雑
アゲハのはばたく羽
すべては移ろい
瑠璃色 まぼろし
弧を描く眩しいブランコ
にぎやかな いつもの公園
アゲハが消えた あの日
あと戻りできない

空が見え 雲の切れ間から
幾筋も光が差し込む
それが見えた奇跡
立ち上がる 土の匂い
立ち上がる 土の匂い

【ヨシノのからの言葉】

わたし小さい頃からアゲハが好きでしてねぇ。
なんといっても綺麗でしょ。
キアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ。
あのなんとも言えない、色や柄。
それを捕まえたりはしないで、ふわふわと飛んでるのを見てるのが好きでした。
蝶の道ってみなさんご存知かな?アゲハって、毎日、同じ時間、同じ場所を飛ぶの知ってました?
時間帯によって道は変わるんですけど。

その飛行ルートは、蝶の道って呼ばれてるんです。
試しに近所の公園でアゲハを見つけてごらんなさい?それでずっと見てなさい。
するとね、ほんと、おんなじところをアゲハは何度も往復して飛んでますから。
アゲハは明るさが細かくわかるんですって。
というのもね。
かつて森林の奥深く、暗い場所に生息していた蛾がアゲハのルーツでね。
その蛾の中から、こんな暗いところは嫌だ、明るいところに出ていこうって、
華やかに進化したのがアゲハ蝶なのよ。
だから、明るさに対してはとても敏感なんだって。
くぅー、これだけで、わたし泣けてきます。

でもどうして、あんなにきれいなフォルム、色になったのかしらね。
神様の仕業ってすごいですよね。
「見た目より、中身が大事よー」なんて言うヒトいますよね。
わたしにもそうやって慰めなのか、声かけてくれるヒトいます。
わたしは、やっぱり、見た目がきれいなものに敵わないなって思います。
中身は人間が作るものだけど、見た目っていうのは神様が作るものだからね。
神の手がかかってるものには崇高なものが宿ってますね。
アゲハが蝶の道を飛ぶ理由ってよくわかってないらしんだけど、
オスがメスを探すためじゃないかって言われてます。
飛んでるのはもっぱらオスなのよ。
メスはめったに飛ばないで、葉の裏に隠れていたりする。
決まったルートを飛んでれば、たまに飛ぶ同じ種類のメスに遭遇する確率が高くなるからね。

神様が作る世界って、突き詰めると男と女の営みがすべてなのよね。
神様はなぜ、わたしみたいなのをお創りになられたのでしょうか?

それでは聞いてください。アゲハ。

6,硝子の欠片 Piece of glasses
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

船は静かに 波止場に止まって
ボクと君との 距離をつないでる
ポケットの中 硝子の欠片は
いつも一緒に 歩いたあかしさ
君と話した 星を追いかけ
ボクは選んで 船に乗る
君が笑って『じゃあね』って言った
ボクは黙ってうなずく

雨が降って 雪が降って
それでも船は帆を上げる
空を見れば そこには宇宙
硝子の欠片が

船は静かに 港を離れてゆく
ボクと君との 距離を割いてゆく
ポケットの中 硝子の欠片は
いつも一緒に 眠ったあかしさ
君は 叫んで 船を追いかけ
ボクは背を向けて うつむいた
君が遠くで『ヤだよ』って言った
ボクは初めて泣いた

君のことを 思い出せば
涙は落ちて 星が降る
空を見れば そこには宇宙
同じ星を見ていた

雨が降って 雪が降って
それでも船は帆を上げる
瞬く銀河にはボクラの
硝子の欠片が

雨が降って 雪が降って
それでも船は帆を上げる
瞬く銀河にはボクラの
硝子の欠片が
瞬く銀河にはボクラの
硝子の欠片が

【ヨシノからの言葉】

ある夏に礼文島に行ったことがあります。
海に断崖絶壁がそびえ立っていて、島の高台にはそこかしこに高原の花が一面に咲いてる。
ほんと天国かと思わせる光景でした。
島に何泊かして帰るとき、不思議な歌を聞きました。
小さな港に帰りのフェリーが停泊してるのね。
そこに多くの若者が集まってて、おそらく見送りに来てるんでしょう。
ハグをしたり、泣いたりして、別れを惜しんでるのる。
そしていよいよ船に乗り込むと、岸にいた若いヒトたちが歌って踊るのよ。

♪遠い世界に旅に出ようか
♪どんぐりころころ どんぶりこ
♪ギンギンギラギラ夕日が沈む

そして船が港を離れるでしょ。
船と港をつないでいた色々なテープが散り散りになる。
汽笛と波の音に混じって、「また帰って来いよー」と悲しい叫び声が追いかけてくる。
そしたら、見送られるヒトたちも船の上で歌って踊り返す。

♪遠い世界に旅に出ようか
♪どんぐりころころ どんぶりこ
♪ギンギンギラギラ夕日が沈む

あとから聞いたら、ユースホステルに泊まったヒトたちの儀式なんだって。
島だとね、船が岸に着く、それが出会いの始まりだし、船が島から離れる、
それが別離って、はっきりしてる。
そして6月から9月の夏の間しか、礼文島にヒトはほとんど訪れないから。
それでひと夏の出会いと別れを大事にしようと儀式は始まったらしいのね。
なるほどなって思いました。

それでは聞いてください。硝子の欠片。