Etoire
Yoshino
2020.10.22

みなさま、お久しぶりでございます。
エトワール★ヨシノでございます。
おげんこ?

本日は六本木クラップスにお越しいただき、誠にありがとうございます。
なんと言ってもね、みなさん、こちら、初めての場所でございましょ。

緊張しますわね。
こんなとこで歌って良いのかしらね。

だけど、だけどね。
今日もばっちし、歌い上げるからよろしくね。

1,グズのブルース

The Blues for slowpoke
作詞 エトワール★ヨシノ 作曲 石川潤一

どんなとこにもいるもんだ
一生懸命 頑張ってる
それでも なんの
役にも立てず イラつかせる
だからグズは考える
「こういうときこそ笑うんだな」
失敗続く
なに笑ってんだ ふざけてるなよバカタレ
グズよ負けるな パッパヤー ブルース

いつも唇噛みしめて
涙がポタリ 膝に落ちる
それでも 今日も
おんなじミスを
リピートする
だからグズは考える
「いなくなったほうがいんだ」と
荷物まとめる
なにをしてんの とっととやりなさい

グズよ負けるな パッパヤー ブルース
グズよ負けるな それしき
グズよ負けるな それしき
グズよ頑張れ
ブルース
ブルース
ブルース

 

【ヨシノのからの言葉】

まず一曲目は「グズのブルース」でございます。
わたしにとって『グズ』ってのは、褒め言葉でございます。
グズはさ、怒られて、慌てて、失敗して、また怒られてって。
自分のことはいつでも後回し。
自分が損しようがなにしようが、 いつもテヘヘって笑ってるの。
グズには明るさと愛嬌があるんです。

北海道の函館に、従業員5名の小さな自動車修理工場があって、 そこの社長さんが知り合いです。
このコロナ騒ぎのときも、ちっとも休んでないんだって。
偉いわよね。
まぁ、小さな商売だと、 休んでらんないってとこが本音かもしれないけど。
そこの社長さん、かつては相当なイケメンで函館のアラン・ドロンて呼ばれてたの。
いまはアララ・ドシタノ?って感じですけど、フフ。

その工場は、出社時間も退社時間も決まってないんだって。
なのに、朝の7時には全員、びしっと揃ってる。
どうしてそうなったのってわたし聞いたのよ。
そしたらね。
函館の冬は、夜中にしんしんと雪が降って、一晩で背丈ほど降る日さえある。
朝の9時から仕事を始めようってなったらさ、まずは雪かきをして、道を作ったりしてからじゃないと始めらんない。
それで、自然と朝7時に集まるようになったっていうの。
だったら雪の降らない季節は遅いかっていったらそうでもないのよね。
おんなじどおり7時に集まって仕事始めてるっていうの。
わたしね、このはなし聞いただけで泣いたわね。
今の時代はさ、ルールとか管理とかで、 やいのやいの言ってるじゃない?
それが。アラン・ドロンのもとで、しびれるじゃない?いいじゃないの?あっぱれ日本人て感じで。
工場の修理工にいわゆる『グズ』がいるそうなのよ。
だけどね、その『グズ』さん。

「おい、お客さまのタイヤを出してくれよ」って、 アラン・ドロンが言えば、

てへへって、山積みになったタイヤ置き場から、お客のそれを見つけて来るんだって。
なんとなくあすこにあったな、って全部わかってるらしいのよ。

『グズ』をクビにしない、社長さんの気持、わたし、ホッントわかります。

あの、言っときますけど、『グズ』と『クズ』は大きく違いますからね。

『クズ』っていうのは小賢しいやつね。

いるでしょ?自分の損得ばっかり考えてる。 ちょっと自分の取り分が少ないとひがんだりするあれ。
多くもらえそうなところないか、キョロキョロしてるあれね。
『グズ』は美しんですよ。
それはきっと、生きる悲しみを知ってるからだと思う。
それでは聞いてください。
グズのブルース。

2,ニュースとゲーム

News and Games
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

雨があがり 下りの坂道
君はほら うつむき歩く
裏切られた 真っ赤な世界に
君は空 見上げて 血を吐く
悔しさをぶつけようと
叫び声を 上げてみたけど
ちぎれた翼は 痛過ぎて
声にならない

ニュースが報じてる
「世界はひとつ」と
真っ赤な嘘さ あんな話しは
捏造だらけのフェイク
ニュースが報じてる
「人間は賢い」
でたらめだらけさ そんなデマは
偽善だらけのサイン
砂の小道 海に続く道
君は嗚呼 疲れて眠る
もたれ合う ふたりの世界
波の音 寝息と重なる
弱い心を隠そうとして
ささいな嘘に 噛み付くけれど
立ちすくむ ひとりは
ずっとずっと 寂しいはずさ

ニュースが報じてる
「命は尊い」
真っ赤な嘘さ あんな話しは
捏造だらけのフェイク
ニュースが報じてる
「弱者は美しい」
でたらめだらけさ そんなデマは
偽善だらけのサイン
ニュースは報じない
「ふたりの出会い」を
信じるボク 疑うキミ
ボクとキミとのゲーム
ニュースは報じない
「ふたりのかけひき」
DROPするボク BETするキミ
ボクとキミとのゲーム

ニュースが報じてる
「人間は賢い」
でたらめだらけさ そんなデマは
偽善だらけのサイン



【ヨシノのからの言葉】

ちょっと極端な話ししますよ。
もし明日、大地震が起きたとして。
たとえばよ、たとえばのはなしね。
たまたま居合わせたビルが崩れて、あなたはコンクリートのがれきの下敷きになったりするじゃない?
ねっ。
そういうことだってある。
ないとは言えなくもない。
東京にいたら、いつ大震災起きたっておかしくないから。
そんで、そんでね。

救助を待っているとき、なぜかそのがれきの下のポッカリとあいた空間に、
もうひとり息をしてるヒトがいる。
砂埃の中で目が合って、「奇跡ですね」「ほんと」なんて話しながら、救助を待っている。
幾日か経って、互いに励ましあって、やがて二人は助け出される。
それが馴れ初めで二人は生涯を共にする。
そういう運命があなたに待ち受けてないとは、ないとは言えなくもありません?

「地震が起きました。死者は何人。未曾有の悲劇が起きました」っていうニュースの背後に、
こういう物語がないとは言えなくもないでしょう?

ニュース、ニュース、ニュース。

いまのニュース番組、ありゃなんですかね。
あんなもの、頼まれたってわたし見ませんよ。
いつも、なーんともいやな後味っつーの?お醤油と牛乳を混ぜたものを、
アイスカフェオレと間違って飲んでしまったようなね。
どうせニュースをやるならよ、ハッピーニュース専門チャンネルってのをやりなさいよ。
そしたら見るわよ。

「今日、どこそこの池で、溺れてる犬を助けようと、飛び込んだ女の子が溺れて、それを助けようとした男の子も溺れて、それを見かけた、どじょうと蛙とザリガニ、そして子豚が、協力してみんなを助けました。
テレビの前の皆さん、みんなでその勇気に拍手しましょう。
イェーイ、拍手」

わたし、拍手します。

「続いては先読みニュース。
明日、あなたになんともハッピーなことが起こります。
それを、ここでこっそり教えちゃいたいけど、教えたらつまんないので、今夜はぐっすり眠って、明日の朝、楽しみに起きてくださいね。
あっ、ニュースでもなんでもなかった。
とりあえず、おやすみ、いびきスタート」

わたしもいびきかいて寝ます。

あなたにとってのハッピーニュース、毎日、ありますか?
それでは聞いてください。
ニュースとゲーム。

3,ブルーのコスモス

Blue Cosmos
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

廊下の影 あなたの声 立ち止まった
笑い声 愉しそうね 泣きたくなる
偶然なの カフェテラス 慌てたのよ
怒ってみせた シャイなわたしを
見抜かないで
風にブルーのコスモス
青空向かって 胸の奥が苦しい
いつか素直になりたい
ほんとの気持ちを 知ってほしくて
淡いなみだの恋心
わたし ブルーのコスモス
名前呼ばれ 振り返ると あなたがいた
帰り道の 銀杏並木 ダッフルコート
学校をやめる それだけさ 言葉残し
私置いて歩いてく かすむ背中
風にブルーのコスモス
青空向かって 胸の奥が苦しい
いつか素直になりたい
好きだった気持ちは 届けられず
花が散ってゆく季節
わたし ブルーのコスモス
いつか大人になりたい
好きだった気持ちは 届けられず
花が散ってゆく季節
わたし ブルーのコスモス
いつか大人になりたい
好きだった気持ちは 届けられず
花が散ってゆく季節
わたし ブルーのコスモス


【ヨシノのからの言葉】

When Pigs Fly.
これ空飛ぶ豚って言葉です。
英語で不可能を表すことわざなんですって。
「オイラ、弁護士になろうと思うんだよ」
「お前が弁護士になんかなれるもんか、
それは豚が空飛ぶようなもんさ」
っていう使い方ね。

2020年。テクノロジーって進んでますでしょう!?
すごいですよねぇ。ほんと近いうち、うちのピグちゃんも空飛ぶかもしれません。
それ乗って六本木来ますね。
Blue Roseっていうのもおんなじ意味らしいわね。
不可能、無理、って英語のことわざ。
バラには青い遺伝子ってないんだってね。
だから青いバラって絶対に無理なんだって。
ところがどっこい、いま青いバラってあるんですよ。
なんでもパンジーの青い遺伝子をバラに組み込んだそうよ。すごいよね、すごいわね。
でもね。わたし、不可能なことって大切なものを含んでいる気がします。

(あのヒトのことが好きで好きで仕方ない。
だけど、だけどさ。
この恋は実らない。絶対不可能なの)

それでシュンとなって、枕に突っ伏して泣くことあるでしょ。あるよね?ありません?わたしはあります。
辛い経験をすると、傷が心に深く残りますね。
ずっとずっと、シクシクと痛むわね。
みなさんできれば傷つきたくないですか?
それを避ける方法がありますよ。
簡単よ、誰も好きにならないことです。
フフ。
不可能を知るからヒトに優しくできたりします。
青いコスモスって、いまのところないでしょ?
えっ?いま研究開発してるとこあるの?
余計なことしないでもらいたいです。
それでは聞いてください。ブルーのコスモス。

4,始まりの別離(わかれ)

Farewell is beginning
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

あぁ離れがたき 思いこらえて
遠きかすみし 山を見上げて
別れ告げしき さぁ行かん

あぁ葉桜咲き 川面まばゆし
声も笑顔も そばにいるよで
散り降る春風切なく

背を押す風に 身をまかせ
歩んだあの日は 遠き雲
明日は違う風吹く 始まりの別離(わかれ)

さぁ手を放さむ 涙拭ひて
笑ひ歌ひし 日々は忘れむ
おのがししの道を行かし

背を押す風に 身をまかせ
歩んだあの日は 遠き雲
明日は違う風吹く 始まりの別離(わかれ)

 

【ヨシノからの言葉】

仏教の言葉に「生者必滅 会者定離」(しょうじゃひつめつ えしゃじょうり)というのがあるのね。
命あるものは必ず死ぬし、出会った者は必ず別れるっていう意味です。
わたしが小さかったとき、初めてこの「生者必滅 会者定離」ってことを知ったとき、
到底受け入れられませんでしたよ。
だって、それはあまりに残酷じゃないですか。
せっかく生まれてきたのに、どうせヒトは死ぬんだ、どうせ愛したってやがて別れるんだなんて。
学校でとても仲の良いお友達ができたのに、結局いずれ別れてしまうなんて。そんなことあるもんか。
お釈迦様だかなんだか知らないけど、わたしは一生、大切なお友達と付き合ってみせるっっっ。
「わたしたち、ずっとずっと友達よね」
しつこく何度も確かめたりして。
だけどね。時が経つうちに友情が途絶えたりするのよね。
(ああ、お釈迦様の言う通りなんだ。
やっぱり、永遠の友情なんてものはないんだ)
って。
悔しい思いを何度もしました。
でもね。この年になると、別れがあるから、いまを大事にしようって思います。
なんか人間て切ないですね。
それでは聞いてください。始まりの別離。

5,アゲハ

Swallowtail butterfly
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

学校を休んだ日の朝に
いつもの公園
こっそり靴を履き 向かった
雨もあけて
止まってたしずかなブランコの
下の水たまりは
鏡のようだね アゲハが映った
空が見え 雲の切れ間から
幾筋も光が差し込む
アゲハ どこにいるの
立ち上がる 土の匂い

忘れたくなくて また来たんだ
大人になったボクは
冷たい鉄棒 温かい手 なじんでく
嬉しくて 悲しみの複雑
アゲハのはばたく羽
すべては移ろい
瑠璃色 まぼろし
弧を描く眩しいブランコ
にぎやかな いつもの公園
アゲハが消えた あの日
あと戻りできない

空が見え 雲の切れ間から
幾筋も光が差し込む
それが見えた奇跡
立ち上がる 土の匂い
立ち上がる 土の匂い

 

【ヨシノのからの言葉】

わたし小さい頃からアゲハが好きでしてねぇ。
なんといっても綺麗でしょ。
キアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ。
あのなんとも言えない、色や柄。
捕まえたりしないで、ふわふわと飛んでるのを見てるのが好きでした。
蝶の道ってみなさんご存知かな?アゲハって、毎日、同じ時間、同じ場所を飛ぶの知ってました?
時間帯によって道は変わるんですけど。
その飛行ルートは、蝶の道って呼ばれてるんです。
試しに近所の公園でアゲハを見つけてごらんなさい?それでずっと見てなさい。
するとね、ほんと、おんなじところをアゲハは何度も往復して飛んでますから。
アゲハは明るさが細かくわかるんですって。
森林の奥深く、暗い場所に生息していた蛾がアゲハのルーツでね。
その蛾の中から、こんな暗いところは嫌だ、明るいところに出ていこうって、華やかに進化したのがアゲハ蝶なの。
だから、明るさに対してとても敏感なのがアゲハなんです。
くぅー、これだけで、わたし泣けてきます。
でもどうして、あんなにきれいなフォルム、色になったのかしらね。
神様の仕業ってすごいですよね。
中身は人間が作るものだけど、見た目っていうのは神様が作るものです。だから見た目って大事です。
神様はなぜ、わたしみたいな見た目をお創りになられたのでしょうか?
それでは聞いてください。アゲハ。

6,硝子の欠片

Piece of glass
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

船は静かに 波止場に止まって
ボクと君との 距離をつないでる
ポケットの中 硝子の欠片は
いつも一緒に 歩いたあかしさ
君と話した 星を追いかけ
ボクは選んで 船に乗る
君が笑って『じゃあね』って言った
ボクは黙ってうなずく

雨が降って 雪が降って
それでも船は帆を上げる
空を見れば そこには宇宙
硝子の欠片が

船は静かに 港を離れてゆく
ボクと君との 距離を割いてゆく
ポケットの中 硝子の欠片は
いつも一緒に 眠ったあかしさ
君は 叫んで 船を追いかけ
ボクは背を向けて うつむいた
君が遠くで『ヤだよ』って言った
ボクは初めて泣いた

君のことを 思い出せば
涙は落ちて 星が降る
空を見れば そこには宇宙
同じ星を見ていた

雨が降って 雪が降って
それでも船は帆を上げる
瞬く銀河にはボクラの
硝子の欠片が

雨が降って 雪が降って
それでも船は帆を上げる
瞬く銀河にはボクラの
硝子の欠片が
瞬く銀河にはボクラの
硝子の欠片が

 

【ヨシノからの言葉】

ある夏に礼文島に行ったことがあります。
海に断崖絶壁がそびえ立っていて、島の高台にはそこかしこに高原の花が一面に咲いてる。
ほんと天国かしら、と思わせる光景でした。
島に何泊かして帰るとき、私は不思議な歌を聞きました。
小さな港に帰りのフェリーが停泊してるのね。
そこに多くの若者が集まってて、見送りに来てるんでしょう。
ハグをしたり、泣いたりして、別れを惜しんでる。
そしていよいよ船に乗り込むと、岸にいた若いヒトたちが歌って踊るのよ。

♪ぎんぎん ぎらぎら 夕日が沈む
ぎんぎん ぎらぎら 日が沈む
まっかっかっか 空の雲
みんなのお顔も まっかっか
ぎんぎん ぎらぎら 日が沈む

そして船が港を離れるでしょ。
船と港をつないでいた色々なテープが散り散りになる。
汽笛と波の音に混じって、「また帰って来いよー」と悲しい叫び声が追いかけてくる。
そしたら、見送られるヒトたちも船の上で歌って踊り返す。

♪ぎんぎん ぎらぎら 夕日が沈む
ぎんぎん ぎらぎら 日が沈む
まっかっかっか 空の雲
みんなのお顔も まっかっか
ぎんぎん ぎらぎら 日が沈む

あとから聞いたら、ユースホステルに泊まったヒトたちの儀式なんだって。
6月から9月の夏の間しか、礼文島にヒトはほとんど訪れないから。
ひと夏の出会いと別れを大事にしようと儀式は始まったらしいのね。
なるほどなって思いました。
それでは聞いてください。

♪ぎんぎん ぎらぎら。
嘘です。硝子の欠片。

7,ママは泣いた

My mother is crying
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

この道はいつも 手をつないだね
すねたりおどけたり はしゃいだけれど
春になり 夏になり コートを着る頃
なぜだかあなたを そっと遠ざけた
夢中になるのが 怖くなったのよ
無償の優しさも わたしには辛くて

この道を曲がって 小さな口づけ
あれから連絡も 取らずにそのまま
プラタナス並木は 涙色の風
十年と二ヶ月が過ぎたわ キスから
ごめんねも 言えずに
幸せになれたの
あなたは 幸せに暮らしていますか?

今はわかる あの時の恋が
幼いわたしを 成長させたの
この道を歩く 小さな手をつなぎ
恥ずかしいから 空を見てた
すぐにわかった あなたの匂いが
風に乗って 届いたの わたしに
慌てて 探したけど いるはずもなくて
ママは うずくまり 泣いた

あなたは この世にいない 気がした

 

【ヨシノからの言葉】

かつて世田谷の保育園に勤めておられて、
のちに絵本『いやいやえん』や『ぐりとぐら』を書かれた
作家の中川李枝子さんのお話だったと思いますが。

保育園では、お弁当の時間になると、子どもたちはお母さんの自慢話で盛り上がるんですって。
まずはお母さんの作ってくれたお弁当を見せて、すごいでしょ?ってところから始まる。
子供たち「すごーい」
ほかの子供が「うちのママは英語ができるんだよ」と言うと、子供たち「すごーい」っていう。
また別の子が、「うちのママはここにほくろがあるんだよ」と言うと、
やっぱりみんな子供たち「すごーい」。
またまた別の子が「うちのママはゴキブリをスリッパでたたいたんだよ」って言うと、
子供たち「すごーい」。
子供にとってお母さんは、何だって自慢なんだと。

この話を聞いただけで、わたしなんかおいおいと泣けてきます。
子供ってなんて健気なんだろう。

でもね。
わたしは、そのお母さんのことも気になっちゃう。
だって、お母さんていったって、ちょっと前までは小さな女の子なのよ。
虫が苦手だったり、ピーマンが嫌いだったり。
フリフリのスカートがお気に入りで、木べらをマイクにして歌ってみたり。
マジックペンでマニキュアごっこして、怒られないかとドキドキしたり。
それが思春期になり、初めて恋をして、そして初めて男を知って、
よくわからないまま初めての結婚をする。
あっという間に初めての妊娠をし、初めての出産をし。
初めてのおっぱいをあげて。

生まれた子供にとってはママは絶対的なものだと思ってるけど、
ママにとっては初めてだらけで、不安でしかないと思う。
動物がもともと持ってる母性っていうもので、もちろん乗り切ってしまうものなんでしょうけど。

風が吹いた時に、ふと少女に戻ってしまう。
「わたしはママなのよ。
だから少女に戻ってはダメ」
そう思うかもしれない。
だけどなぜか懐かしい風が吹くとママは少女に戻ってしまう。それも子供の前で。
そういうことってたくさんあると思う。
なのに、それを見かけないのは、見せまいとしてる母親の意地だと思います。

それでは聞いてください。ママは泣いた。

8,幕開け

Dawning of an era
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

世の中は、腐ってるさ
あたしもね、ほんとそう思う
だからそんで 神様怒って
悪人を 淘汰したのね

心配はぜんぶ御無用
あなたはさ なんとかなる
笑ってよ あなたの時代よ
過去なんて どっちゅことない

神様大掃除 下界大掃除
冷たい闇がりに スポットが差す
宇宙(そら)は回ってる 星は流れてく
温かくて明るい 幕が開けた
天も地も 穢れの極み
あたしもね 染まっていたわ
だからそんで 神様怒って
天誅が 下ってしまった

さよならは いつも突然
予測不能 不意打ちなの
生きている それは苦しみね
過去なんて なんくるーない

愛別離苦(あいべつりく)
怨憎会苦(おんぞうえく)
求不得苦(ぐふとくく)
五蘊盛苦(ごうんじょうく)

神様大掃除 下界大掃除
新しいステージ 緞帳が上がる
宇宙(そら)は回ってる 星は流れてく
温かくて明るい 幕が開けた
宇宙(そら)は回ってる 星は流れてく
温かくて明るい 幕開けの今

 

【ヨシノからの言葉】

2020年ももうじき終わりますが、まぁまあ、こんなシュンとなる年になってしまうとはね。
どうしてこういう事態になってしまったんですかね。
わたしは、要するに、神様の大掃除が入ったんじゃないかと思います。
どこぞの特定の神っていうんじゃないですけど、どっか現世とは違うどこか見えない世界っていうのはありますよ。
そこの力が働いたんじゃないかってことです。
要するに、ここ何十年良かれと思ってやってきた、いろんなやり方が傲慢だったんじゃないかしらと。
だからこの機会に悔い改めないとだめなんじゃないかしら。
人間て、一旦成功したヒトは、改心なんかしませんからね。
商売で成功したヒトはやり方を変えられないんですよ。執着しちゃって。
これから景気は落ちるだけ落ちてゆくでしょうね。
そんなとき損得勘定でやってたら、詐欺師に捕まりますよ。
こうやればうまくいくなんてセオリーありませんよ。
若いヒトは自分のやり方を信じて、突き進めばいいのよね。
「損得なんか関係ない、もうこれをやらずにはいられないんだ」ってあなたが思って、そんなあなたを手伝うヒトがまたいて、それでようやく新しい時代は1センチ前に進むわけです。
まだまだ、大掃除は続くと思います。ヨシノの予感です。
あなたが、いつ改心するのか。それが一番大事なことだと思います。
それでは、聞いてください。幕開け。

9,愛のつぼ焼き

Turban shells
作詞 エトワール★ヨシノ 作曲 マルグリット・モノー

いつも こんなことを考えているのよ
あなたがいるその
真っ青なお空にむかって
わたしは「だーれだ」って
腹の底から叫ぶの
するとあなたは その優しい笑顔で
「誰だろ もしかしてヨっちゃん?」
ってはにかんだりする
あなたが大好きだった
江の島の堤防の屋台の
そのつぼ焼きを私に差し出して
「ヨっちゃん指先が熱いよ あっち」
って耳たぶをつかむわね
そんな あなたに会いたい

あなたの熱い手で
あたしに食べさせて
ララふたりだけの
愛のつぼ焼き
魂が叫ぶのよ
熱いつゆがくちびる
もいちど二人は
肩寄せターバンシエール

バンドネオンに 灯がともる
聞こえるムジカ
フラフラフラリン
テケテケピョンピョン
踊りましょうよ
踊りましょうよ
あなたとふたり ムジカに合わせ
体引きよせ 浜辺にひとり
ふたりはターバントワイライト

あなたの熱い手で
あたしを引き寄せて
ララふたりだけの 愛のつぼ焼き
魂が叫ぶのよ
熱く濡れるくちづけ
もいちど二人は
肩寄せターバンシエール

 

【ヨシノからの言葉】

〜シャンソン喫茶エトワールでのオープニング〜

ようこそ、みなさま、喫茶エトワールへ。
わたくしはここの女店主、エトワール★ヨシノでございます。
こんなに少数の方にお越しいただいて、感謝感激でございます。
ありがとう。
今日は、たっぷりと6時間(笑)、わたくしの歌を、みなさまにお聞きいただきたいと思います。

あっ、ここ笑うとこで、さらに拍手のポイントです。

私はこちらで、40年あまりシャンソンを歌っております。
シャンソンとは『歌』という意味でございます。
イタリア語では、カンツォーネ(Canzone)、スペイン語ではカンシオン(Cancion)となりますね。
このシャンソン。
一つの特徴といたしまして、メロディよりも歌詞が重要なんだということです。
シャンソンの歌詞は、日常的なことばを使いつつ、歌がストーリーになっていることが特徴なのよね。
詩人シャンソニエの書く言葉は、鋭いエスプリ風刺を含んでいて、気のきいたストーリーになっていなければなりません。
このシャンソニエに求められるのは、歌がうまい下手じゃなくて、
ましてや顔の良し悪しじゃなくて(笑)。
そりゃ歌がうまい美人に越したことはありませんけど、
歌をどのように解釈し、自分の言葉で聞き手に伝えるか、その一点が大事なんでございますの。
わたしはシャンソニエとして、みなさんに「生きることの楽しさ、素晴らしさ」をお伝えしたい。
その思いひとつで40年この場所でやってきたんでございます。

それでは、ひとまず、お近づきの印としまして、一曲お届けしましょう。
愛のつぼ焼き。

10,亡き空に、オロール

Talking with my father
作詞・作曲 エトワール★ヨシノ

月あかり プラチナ町
とおくに濤聲(とうせい)
聞こえてる 父は遥か
眠るよ どこかで

話したい 独り口
窓ガラス 雪曇り
忘れない 父は遥か
眠るよ しずかに

朝も夜も星も
ループは幾重にも
紙縒り(こより)を紡いでゆく
アパートの階段 乾いた足音
書きかけの手紙 破き
見ていてほしい
亡き空に オロール

エメラルド コバルト町
にぎやかなオロール
ありがとう 父は遥か
眠るよ どこかで
話したい これからを
マグカップ ミルクティ
懐かしい 父は遥か
眠るよ しずかに

朝も夜も星も
ループは幾重にも
使命はつながってく
針落とすレコード 鳴いてるオルガン
笑顔の写真ラララ
見ていてほしい
亡き空に オロール

天に瞬く オロールの下で
父よ話したい
父よ会いたい
森羅万象 享けた魂
挫けずに 道を生きる

天に瞬く オロールの下で
父よ話したい
父よ会いたい
森羅万象 享けた魂
挫けずに 道を生きる

 

【ヨシノからの言葉】

おとうちゃんとママは、横浜の元町あたりで小さな喫茶店をやっていて。
アタシはそこで育ったの。
港で働くヒトを相手にした喫茶店でね。
珈琲をサイフォンで淹れて、一杯200円て、そんな店だったのよ。
お酒は出さないの。
それはおとうちゃんが下戸って言うこともあったけど、
ホント言えば、ママが酔ったお客にモテるのが嫌だったのね。
おとうちゃんは、あれで案外ヤキモチ焼きだったから。

あのおとうちゃんに、なんでこんな美人が嫁に!?って横浜の七不思議の一つだったからね。
ママは、映画女優にならないかって、プロデューサーにしょっちゅう口説かれる美人だったからね。
ママの肌は真っ白で、ほんと白菊みたいにきれいだった。
あたし?フフ、あたしはザンネン。
おとうちゃん似よ。
見りゃわかるでしょ(怒)

店はね、忙しかったのよ。
あさは6:30に港湾のヒトが入ってくる。
夜は酔った後のお客が、コーヒーを飲みに来たわ。
私もずっと手伝わされたわよ。
人雇う余裕なんかないもの。
勉強なんかする暇ないの。
小学生の時から紙ナプキンを折ったり、パンをスライスしたりね。
当時は出前というのもあったから、近くの会社にアイスコーヒーなんかを自転車で届けたりするのよ。
ラーメン屋のおかもちに、アイスコーヒー入れてね。
クリームソーダなんてアイスが溶けたら怒られるから必死よ(笑)。

家族はもうずっと仕事。
家族で、のんびりするなんてなかったわよ。
運動会のときも親は見に来れないから、校長先生の横でゴザひいてお弁当だった。
想い出と言ったらね。
歓楽街のボーリングに行くこと。
何年かに一度、台風が上陸するでしょ。
すると港湾は封鎖になるから、そうすると店開けてても誰も来ないの。
そんなときは、おとうちゃんが、「いくぞ」ってボソって言う。
ハマボールは夜中までやってたから、そこに店を早閉めしてタクシーで行くのよ。
ママは、「2ゲームで帰るわよ、今日はなんにも稼いでないんだから」、って何度も言ったわ。
タクシーの窓から見える、ネオンの光景は今でも忘れないわ。
嵐で誰も歩いてないネオン街は、私たち家族のものになったような気分だった。
でも決まってね、ボーリング場に行くと、知り合いのお客さんがいるのよ。
酔っぱらって美人のママに絡んできたりしてね。
それで、酔っぱらいのオヤジたちとボーリングすることになるのよ。
せっかく家族水入らずだったのに、結局、店にいるときとおんなじ。
おとうちゃんもママもお客さんの前では、よそ行きの顔になるから。
それが寂しかった。

最期、おとうちゃんは、あっけなく死んじゃった。
それが後悔と言えば後悔ね。
おとうちゃんとは、もっといろんなはなしをゆっくりしたかった。
いまでもそう思うわよ。

歌います。亡き空に、オロール。

Next Stage
Etoire
Yoshino
2020.
12.27sun

「エトワール★ヨシノ2020 Live MOTIFE」
エトワール★ヨシノが六本木デビュー!
1st Album『MOTIFE』 のリリースを記念したライブですが、
早速年末は新曲を引っさげてのライブです。
何卒ご声援を賜りますよう、お願い申し上げます。

○日時
12/27(日)19:00開演(18:00開場)

○場所
ROPPONGI C*LAPS (六本木クラップス)
○料金
6000円(税込)/当日券+500円
※別途、入場時にワンドリンク代(800円)をお願いしております。
※全席自由席

※配信サイトによって「エトワール★ヨシノ」で検索しても見つからないという不具合が報告されています。「エトワール ヨシノ」と★を抜かして検索してみてください。