連続ドラマ
井川啓央
エトワール★ヨシノ
このドラマは「いかひこ」のメンバーを中心として製作します。
テレビが世に出始めた1950年代後半、映画界はテレビ製作を馬鹿にしていました。そんななか映画監督の木下惠介は、映画界の古臭い体質にうんざりし、テレビならではのフットワークの軽さに着目しました。1960年代に入るといち早くテレビ界に進出し、数々の連続ドラマを製作しました。
現在は映像製作のデジタル化、簡易化が進み、YouTubeで誰でも映像の製作配信ができる環境がそろいました。その環境のもと、ドラマ製作をしたことのないスタッフ、演技経験のないキャストで、新しいフィールドを作りたいと思っています。
■概要
YouTube いかひこチャンネル用ドラマ作品
1話60分 全8話
タイトル 「ノッテビアンカ」
内容 2021年に生きる市井の人々を描いた群像劇
監督・脚本 井川啓央
音楽 エトワール★ヨシノ
製作 株式会社セレンディピティ
タイトル「notte bianca(ノッテビアンカ)」とは、イタリア語で直訳すると「白い夜」です。白夜とは高緯度の地域で観察できる太陽が沈まない自然現象のことです。夏至には、一日中、太陽は沈みません。白夜とは意訳すれば「眠らぬ夜」であり、東京に住む登場人物たちは、夜も眠らずに、悩んだり、恋をしたり、仕事をしたりしている。まるで白夜の世界に生きているようです。そんな人々の暮らしを意欲的に描きたいと考えています。
■サブタイトル
夏編 / 1話 Voice 2話 Chicken
秋編 / 3話 Trigger 4話 Secret
冬編 / 5話 Trauma 6話 Atom
春編 / 7話 Local 8話 Notte Bianca
■舞台となるロケ地候補
映像の中には、新しいニュータウンの景色、失われてしまった武蔵野の景色、いびつな都心の再開発、マスクで埋め尽くされた人々の群れ、探せばあるのどかな場所などが対象的に映し出されていく。
新宿や渋谷の再開発
横浜市港北ニュータウンの人工的な町並み
公園に整備された水辺や散策路
横浜郊外の都市農業地域
取り残された古い団地群
地方都市の昔ながらの風景
渋谷カフエ マメヒコ
テレビの連続ドラマが好きで、小さい頃からそれを見て育ったんです。ほんとにとても好きだった。その後、大人になって映画なんかも見るようになるんですが、単純に比較はできないけれど、やっぱり連続ドラマが好きだなって思うんですね。
ボクが好きなテレビドラマは、なんでもない会話劇です。ストーリーやプロットを追いかけるようなものじゃない。登場人物の設定だけが決まっていて、あとはちんたらと会話が続く。ただ会話だけの回があったりする。色々見たけど、そういうものが好きだったんです。いまのテレビドラマをボクは見ないので、そういうちんたらものがあるかどうかは知りませんよ。だけど、経営厳しいテレビ局が、そんなちんたらな企画を通すとは思えません。
だからボクが好きだったテレビドラマは、もう失くなってしまったなという気持ちがあります。
個人的なノスタルジーを満たすだけなら昔のドラマを見ればいいわけでしょう。でもテレビドラマの多くは現代劇ですから、時代の風俗が色濃く反映されます。だからやっぱり昔のドラマだけでは物足りない。
それでいつか、自分の手で連続ドラマを作りたいなってずっと思ってたんです。
話はそれますけど、パリやロンドンの美術館を回ると、ずらりと並ぶ作品にはどれも、なになにと作家の名前が書いてあります。少し前に中国の小さな美術館に入ったときに、そこにはたくさんの土や木で作られた偶像が展示されていたんだけど、みな作者不明となってたんです。どれもその顔にはユーモアがあってね、見ているこっちが楽しくなるようなものばかり。いいなーと思った、本当はこっちなんだって思ったんです。
作品を生むことでお金や仕事を生まなくちゃいけない立場にいるヒトたち、それとは違う「名もなきヒトたちの造形」というのが歴史を見れば無数にあるんだなと。ボク自身も無名ですから作品でお金を生む必要はないわけです。
連続ドラマを作るというとテレビ局に就職しなくちゃとか、脚本コンクールに入賞しなくちゃと思いがちなんだけれど、それはお金や仕事としての作品で、それとは違って「名もなきヒトたちの造形」としてドラマを作れないかと思ったんですね。参加してるみんなが、あのシーンは誰々の表情が良かったねと思える。脚本の余白を登場人物みんなで埋めていく。スタッフも、公園の西陽が良かったねとか、衣装が合ってたとか、そういう風にして参加していく。
ドラマづくりに参加してるヒトだけが面白いものになればいいと割り切って作ろうと思っています。徹底した内輪受けでいい。逆説的な言い方になりますけど、マーケティング手法を参考にして、たくさんのヒトの要望を調べて作られたドラマをボクは面白いと思えない。一度はウワーッとなっても、あっという間に消費されてしまうんじゃないかという気がします。それよりドラマに参加しているヒトたちがこれは面白いというものは、やっぱり面白いんじゃないかと思います。