「ご贔屓さん」に問う


毎日、公園通りでは、
パルコの工事現場、
宇田川では、住友ビルの工事現場を
横目に見る生活が、
1年以上も続いている。

大きなダンプが、
たくさんの土を運び出していく。
その土は、当たり前のことだが、
渋谷の土だ。
すべての中心にある土が
これだけごっそり、
どこかに運び出されるのだから、
街が変わって当然だと思う。

かつて土のあったところに鉄杭を打ち、
コンクリートを流し込む。
よって高いビルができるだろう、
そこを坪いくらの
高い家賃で貸し出せば、
運んだ土は何百倍のお金を生み出す。

そういう仕組みはわかるけど、
だから何なのかと思う。
なんていうか頭悪いと思う。
そんな仕組みにすれば、
面白い街ができると思っているのか。

そもそもいま面白いと思って
生きているヒトが、
どれほどいるのかなと思う。
たぶんお金はあるところには
あるんだろうけど、
面白いねと思って使っているヒトが
どれだけいるのか。

渋谷の街のドラスティックな変化は、
マメヒコの目の前で
起きていることだけど、
ずっと冷ややかに見ていた。
実際、ボクらと遠いとこのはなしだし、
ボクらはむしろ、そういう
影響のないところにいたかった。

けれど。
どうもそうもいかないな、
という感じがしてきた。
ボクにはどうすることもできないことが
色々と出てきていて、
なんとなぁくだけど、
つまんなくなってる。

三茶のコーヴァイヴも、
いよいよ建て壊しの看板が立った。
こちらもまた一年近く、
工事現場の隣で営業することになると
思うと、気が滅入る。
けれど、こちらは
希望をもってやりたいので、
美味しいものを食べながら楽しめる
演芸場みたいなものに
したいと思ってる。

みんなが集まって、
笑ったり、楽しくなったり、
参加したりできる場所にしたい。
あぁここがあって、ほんとによかった、
という場所を作りたいと思ってる。

名前はマメヒコじゃなく、
セレンディピティとしたい。

ボクにとって足かけ
12年やってきたマメヒコは、
いわば学校だったんだ。
そこで教わったことを、
ボクはもっと世の中に
活かさなくちゃいけない。
もっと多くのヒトに
還元しなくてはいけない。

Make me.

Hospitality.
Intelligence.
Communication.
Organic.

これ。
頭文字をとれば、mamehico。
mamehicoを大事にすれば、
マメヒコじゃなくて
インじゃないのという発想。

話変わって、ファンのはなし。
マメヒコのファンクラブとか、
ファンを増やさなくちゃとか、
そういう言葉がちょっとひっかかる。

ゲーテ診療所のファンクラブとか
作っといてなんだけど。

ファンて言葉は
あんまり使いたくない感じ。
これはきっと理由があるはず。
だから語源を調べてみた。

語源はfanaticで、ラテン語だ。
意味は、古代、特定の宗教を
熱心に信じるヒトたち、狂信者とある。
狂信者が自分の意に沿わない。
狂信的なヒトたちに、
ホスピタリティはあるだろうか。
インテリジェンスはあるだろうか。
コミュニケーションは取れるだろうか。

もっとぴったりくる
言葉がないか探してみた。
ファンではなく、
「ご贔屓さん」ではどうか。

贔屓を調べてみた。
贔屓とは、
中国における伝説の生物・・・。
なぬ。
重いものを背負うことが好きな、
亀に似ている妖怪、だと。
なぬ。なぬ。
それだけでなんか、カワイイ。
中国の石柱の土台に亀が多いのは、
この贔屓なんだと。
重いものを背負うことが
好きなんて健気だ。

さて贔屓は、
マメヒコにたくさんおられる。
ボクらが困っている、
めんどくさいことを
せっせとやってくれる
「ご贔屓さん」に、
マメヒコは支えられている。

「ご贔屓さん」は、
けして熱狂的ではない。
むしろ、その逆で、
いつも控えめで、冷静に淡々と、
ボクらマメヒコという
重い荷物を背負ってくれている。

あーそーか。
ボクらは「ご贔屓さん」を
大切にしなければならない。
だからマメヒコを
自分の思い付きで止めてはいけない。
そして自分たちの力の及ばぬ戦いに、
巻き込んではいけない。

はて。
渋谷でマメヒコを続けることは、
「ご贔屓さん」を
大切にすることだろうか、
それとも要らぬことに
巻き込むことだろうか。

「ご贔屓さん」に問うてみたい。

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