Episode 1/ LESSISMORE
小説「エトワール・ヨシノ」より
はじめに
短編小説 LESSISMORE を公開します。
「裸足の金星」のタイトルで書き始め、幾度となく書き直した短編小説です。
去年の春、ラジオでご一緒している角田さんを通じ、コルクの佐渡島さんから小説を書きませんかと声をかけられました。
数年前にも一度、声をかけてもらったことがあり、今回は二度目のことです。
ボクは小説を好んで読みませんので、小説を書きたい気持ちは正直ありませんでした。それなら、映画やテレビドラマを撮りたいと思っていました。
でもせっかく声をかけていただいたので、「いいね、やろう」と返事をしたのが去年の春です。
どうせ書くなら、良い小説を書きたいと心底思いました。
というのも。
普段は、制約の中で映画を作り、お店を経営したりしています。小説は一人で書くものですから、一人で完成できるものを誰の言い訳もせず、やり通してみたかったんです。
書き始めるとパッとアイデアが思い付きました。初稿なら一日もあれば書けるとわかりました。
モーツァルトはパッと書いたものが稀代の傑作ばかりだったそうです。
ボクもそうありたかったのですが、天才ではないことがわかりました。でも良いものを書く約束ですから直すほかありません。
書き直すのは苦痛です。至らなさを目の当たりしていい気分のヒトはいないでしょう。
何度も視点を変え、登場人物や文体も変えながら初めて書き終えたのが、短編小説「LESSISMORE」です。
書き直す苦痛があるものの自分で納得できる良い小説が書けたのは、ここ何やイカハゲを通じて励ましてくれた皆さんのおかげです。
励ましがなければ、書くことはできませんでした。
エトワール・ヨシノのメイクをし、青いタイツを履くとき、「普通のヒトとは違う道を歩いているな」としみじみ思います。
わざと寄り道し小石やタンポポをみつけ、それをみんなに教えてあげたい。
ボクはそういう少年でした。子供のころの経験が、マメヒコをやったり、小説を書いたりするのに役に立っています。
ボクにとってはお金儲けなんかどっちだっていんですよ。自分で選んだ道を自分で歩きたいんです。
みなさんも誰に何と言われようと、ご自分の道をご自分の足で歩いてくださいね、鼻歌とともに。