劇 「豕 ぽうく」 について

劇 「豕 ぽうく」がまもなく上演です。

ほんとうは、1月末の上演だったのだけれど、
緊急事態宣言があったせいで、なんともまあ。

数ヶ月遅れでの上演となりました。

そのおかげ?というのもなんだけどさ、
1月はじめには台本が書き終わっているという異例の事態で、
こんなことは今まで初めての、入念な稽古となったのでした。

と言っても、2週間前の今も、
まだまだ完成してなくて、
実際の仕上がりは見えてないのですが、
なんとなく予感として、
センセーショナルな脚本と出演者の演技があいまって、
なかなかの舞台になる予感はするのです。

予感ですけどね、予感は大事です。

演劇とか映画とか、
ボクは見るよりも創るのが好きなだけなので、
創れればそれでいいのです。

たくさんのヒトに見てもらいたいとか、
そういう気持ちはあまりないし、
お客さんの反応に一喜一憂することもありません。

開けてみるまでわからない。
どうなるかわからないことを体験したいし、
だから楽しいわけです。

今回の、こと劇「豕 ぽうく」に限っていうと、
ボクの楽しみはただひとつ。

主役のヤスオを演じる永井君が、
当日、お客の前でどんなお芝居をするか、なんです。

永井君は、ボクより少し若いさえない中年男です。
その彼は、ほんとうに素晴らしい。
ボクは彼がいてくれば、いくらでも脚本が書ける。
とにかくストーリーが浮かんでくる。

小津安二郎で言うところの笠智衆、
黒澤明で言うところの三船敏郎、
井川作品には永井宏佳、
そういう逸材なのです。

なにが素晴らしいかといえば。
んーーーーーー、言葉では言い表せない。
魅力?んー。
説明できないのが魅力です。
見てもらうしかないんだな。

あえて、もっともらしいことを言えば、
彼は、現代の東京を背負っていると言っていい。

彼の、その仕草、その顔、その物言い、
その立ち居振る舞いすべてが、
THE 2021 TOKYO だとボクは思う。

いまの東京に住む若者から、
ボクのような中年まで、
すべからく皆アトム化している。

それは表面的には個人の問題として処理されるので、
問題化しにくいけれど、
これはどんな問題より深刻で、
そのアトム化した東京、
いや日本の新しい受け皿として、
ボクはカフエ マメヒコを始め、そして続けている。

アトム化した残酷な孤独社会を見つめることはきつく、そして切ないだけです。
かといって見ないことにする、
感じないことにするのは性格的にできない。

だから、このもやもやとした気持ちを、
からっとしたコメディにしたいなぁとずっと思っていたのだけれど、
それができる役者がずっといなかったんです。

今回の「豕 ぽうく」もアトム社会を茶化したコメディになってるんだけど、
そんなところに永井君が現れて、
おっこれは色々できそうだ、
そう思ってボクは今回の脚本を書いたのです。

この脚本は今回そろったメンバーじゃなければ演れないそういう作品です。

というわけで。
永井君が実際のお客さんを前に、
からりとした笑いをまとって、
観客に潜む無意識な心の内に、ぐさりと迫れるのか。

そこがワタクシ、大変興味があるのです。

ただ、ただね。

そもそもフツーに暮らしてる若者が、
なんとなく演劇に参加する。

その偶然からなにを感じるか。なにか変わるか。
そして今後、この世界でなにを拠り所として生きていくか。

そのことのほうが、
ボクの作った物語の上演なんかより、
ずっとリアルな物語として存在するんです。
そして、ずっと着目するに値するとボクは内心では思っています。

その豊穣な物語を共有できるのは、参加した人間だけの特権なのであしからず。

メンバーより一言

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