理想との距離

理想との距離

理想との距離ってものは、人の心をたいへん蝕むなと最近思う。僕は、高校の入学式で、現役で東大に行くことが理想だと言われた。受験勉強では、理想とあなたとの距離というものを認識させ、その距離を埋めるためにあなたは日夜自分の持ってる、時間や才能のリソースを割くべきだと示されていたけれど、それはとても歪んでいると反発していた。

僕は、大学の時に家庭教師のアルバイトをしてたし、学習塾の経営もしていたことがある。でも、自分が教えている子たちに理想を描かせて、その距離との差分を埋めさせるような事はしなかった。子どもにはそれぞれ可能性ってものがあるから、勉強は苦手で嫌いだったという子が、面白いと思ってわーっと勉強するようになって、悠々と難関校に入ったっていうことも沢山ある。理想との距離感を肌感覚で掴ませて、今この瞬間からやり始めなければいけないっていうことを小さいうちから教育された子は、絶対に自信が無くなってしまう。

社会とは、色んなものが複合的に成り立っているし、人間だって、生きていくことだって、複雑なものだ。複雑性の持ってる機微を、シンプルだとしてしまう思考の仕方は、ある側面ではとても効果があると思う。つまり、理想を描かせて、理想との差分を埋めさせるという教育は、社会をシンプルに認知させるということでもある。けれど、シンプルなものは対処療法でしか解決しない。具合が悪かったら薬を飲めば言い、とかでしか解決しないって思い込んじゃうのは、違うんじゃない?

理想を掲げずに育った子供たちは、しっちゃかめっちゃかではあるけれども、その複雑性は、その子をチャーミングにさせている。取っ掛りのないけれど何かを達成しているという人は、チャーミングではないと思うし、そういう表面がつるんとした人は、ただチャーミングで好かれている人をみると妬みの気持ちが湧いちゃうんじゃない?そう思うの、僕だけでしょうか。

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