直線と曲線

「直線と曲線」については、常に考えることだね。

今、都会の街中では、街路樹とかの木以外、ビル、横断歩道、歩道橋、川の手すりなどに曲線は無くて、直線だけで出来ているね。

人間は文明を発達させる過程の中で、自然を排除して来たと思うんだよね。自然との共存というより、自然をどう管理するかという自然に対しての傲慢さがあって、それが今の人間の苦しみに繋がっている、という考え方もあるわけ。

だから、行きすぎちゃった直線主義に対して、アンチ直線を取り戻すというのかな、そういうようなものが、あるんだよね。

例えば、ボクがクルミドコーヒーを作った時は、1個づつ木の木っ端をタイルにして壁に貼ったんだけど、これも直線に対する抗いなんだよね。

それとか、「崖の上のポニョ」は、直線で描ける家を、フリーハンドでノイジーに描いていくという形。だから温かみを感じるわけ。

今は、建物を建てる時には、赤いレーザーで寸分違わずに直線が引けるけど、ニューヨークの古い建物は、フリーハンドの直線なので、床と手すりが平行じゃなくて、いろんな所が歪んでいる。ノイジーな直線がとても味わい深いわけ。

そう考えると、新幹線は容赦なしの直線で、非常に官僚、国家的な作りだね。途中の地形もお構いなし。
リニアモーターカーは、新幹線よりも更に、国家の威信をかけているので、直線ありき。

アフリカの国境も、多くが直線。人類の起源ともいえる大陸で、本来なら、山、川に沿った国境線になるべきものを、白人が、植民地としてアフリカを統治するにあたって、国の間で喧嘩にならないようにと、緯度と経度で分けちゃおうと、直線的な国境を引いたわけ。
結果的に、現代に至るまで世界中で起きている民族紛争の原因になっていることは、自明の理だもんね。

何をもって行き過ぎるのか。ほどほどでいんじゃないと思うことでも、どうにも歯止めが利かない。

なんでも一本やりで直線というのは良いことないです。

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