カフェをやりたいヒトへ

カフェをやりたいヒトが増えています。
その相談に乗ることが多いんです。

ボクは口先三寸のコンサルタントではなく、
実際にお店をやっていますから。

まず相談してくるヒトには、
「カフェは勧めません。止めといたほうがいいでしょう」
と回答します。
甘い返答は一切しません。

ボク自身。
群馬の桐生、神戸の御影、埼玉の空水茶屋、
これら、まだできたてのお店を抱えています。

そもそも、それぞれの地域には、
すでに行きつけの喫茶店やカフェがあり、
そこに「ちょっと、すいません」
とボクたちは割り込んでいくわけですから。

地域の人達のルーティーンに乗るには、
めっぽう時間がかかるものなのです。

「石の上にも三年」、なんていいますけど、
ボクに言わせれば「火の上にも10年」、
それくらいの覚悟がいる印象です。

まぁ、カフェに限らず何事においても、
「始める」というのはそういうもんだと思います。

ですから。
新しいことを始めるなら、思い立ったら吉日やで。
若いうちにとっととやったほうがええで。と言います。

40歳で始めて、軌道に乗るのは50。
30なら40、20歳なら30なわけですから、
早いほうがいい。

ぼんやりとした相談者には一日でも早く始めろ、
一日でも早く会社を辞めろ、
とせっつきます。

が、今日明日に困らぬヒトが、
自らの意思で今の立場を捨てる、
そんなことできるはずありません。

さて。
カフェが定着するまでは、どうやってゆけばいいか。
具体的には、ボランティアで手伝ってくれるヒト、
資金面でサポートしてくれるヒトを探すほかありません。

そうやって、お店を育てていく。

カフェ以外の仕事で稼いだお金を、
お店の運営に回すというのも手です。
ただそれをしてると、カフェはただのお荷物じゃないか、
という気になってくるものです。
それはなんか違う気がしていて、
ボクはお店しかやってません。

庭にお金の成る木が生えてるとか、
埋蔵金が眠っているというヒトは、
人様に迷惑をかける心配もいらないし、
正論だけでもやっていけるので、
カフェをやるのには向いています。
皮肉ではありません。

そんなものないよってヒト、
運転資金において金融機関を当てにしても、
ほぼ頼りになりません。

お店を作るときに、めいっぱい借りてるわけですから、
運転資金を貸すわけがありません。
「貸したお金を返してから借してあげましょう」となるのが関の山です。
コロナ融資さえ、とっとと返してほしいと迫られます。

というわけで、目先のお金のことだけ考えたら、
カフェを始めるなんて、何ひとつ良いことはありません。
「カフェは勧めません。止めといたほうがいいでしょう」
と言うわけです。

ただ。
時代はすっかり変わってきている。
ひと昔前のように、ひとつの会社で勤め上げるなんてヒトは、
そういないでしょう。
家にいながら仕事するなんてヒトも増えている。

今後さらに、いくつかの会社で仕事をしながら、
複数のコミュニティに携わったりするのが、ますます一般的になると思う。

さらに。
郊外の不動産の価値は、今後ゆるやかに下がるはず。
売ってもいくらにもならない、住んだり使う気もない、
持ってるだけで固定資産税も出ていく、
だったらここを有効的に使ってくれるヒトいないかしら、
そうなるはずです。

そんな時代背景のなかで、
みんなが集まるカフェをやりたい、
ってヒトは必然的に増えてくるはず。

なにはともあれ、お店を我が子供のように愛せるかに尽きると思う。
生まれてすぐの子供に稼げ、稼げと言っても無理なわけで、
独り立ちできるまでは、無償に愛してあげる。
地域や人間に育ててもらう。
カフェは事業ではなく育児、
事業だとしても、農業ではなく林業だと思ってちょうどよい。

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