ヨシノさんとボク

先日、エトワール★ヨシノのライブを開催した。

ボクには井川啓央という顔と、もうひとつエトワール★ヨシノという顔、いや分身がいる。
彼女は年齢不詳のシャンソン歌手で、自分の言葉で詩を紡ぎ歌にして、みなさまにお届けしている。
彼女というのだから女性だ。

そんな彼女?と奇想天外な二人三脚(どちらかというと二人羽織)の生活が続いていて、今年でかれこれ8年目になる。

毎年、秋にアルバムをリリースしている。曲数は10曲。
すべての作曲と作詞をヨシノさんが手掛けている。
それらオリジナルの歌をもとに、ライブも定期的に行っている。
ホームグランドであるMAMEHICOのほかでも精力的にライブを行っている。ライブはカバー曲はやらない。
すべてオリジナル曲なので、初めて来るヒトはぽかんとしている。
さらに時間も長い、3時間は普通である。

先日のライブは、ピアノ、ドラム、サックス、ベースといういつものメンバーに、コーラス二人、キーボード、バイオリンも加わった。

昨年の暮れに神戸の『月世界』というキャバレーでライブをやったときは、もっと大所帯だった。
お客さんも入れたら200名ほどだった気がする。

ボクは彼女のすべてをサポートするマネージャーであり、プロデューサーという立場だ。
曲のアレンジは、ピアノを担当している石川潤一さんがすべて担っている。
レコーディングは、ベースを担当している村濱くんがエンジニアとして働いているスタジオで録っている。
レコーディングした音源は、ボクがミキシングやマスタリングをして整え、各プラットホームに配信させている。
ほかにもグッズやポスターの制作、彼女のご機嫌取りもボクの仕事だ。

音楽ビジネスが昭和や平成に比べて様変わりしたという話をよく聞く。
CDも売れなくなり、音楽は配信サービスとなり、ミュージシャンに行くお金も減ってしまって、これは由々しきことだと。
たしかに、そうだろうと思う。
音楽をやるにはお金もかかるしね。

ただ、自分もいちリスナーとして、
配信サービスを利用し、その恩恵は存分に受けている。
アーティストとしても、エトワール★ヨシノが、アマゾンミュージックやスポティファイなどで、ビートルズやバッハと軒を並べるなんて、一昔前では考えられなかったことだ。
いまのあり方が良いか悪いかは置いといて、もう昔には戻れないだろうと思う。

エトワール★ヨシノのプロデューサーとしては、ライブをやるにしてもアルバムを作るにしてもお金がかかる。
さて、マネタイズは、どうしたらいいものかと考える。
エトワール★ヨシノに関わっているミュージシャンも、たくさんのお客さんに自分たちのやってることの価値を認められたいと日頃から思っているし、生々しい話だが、ギャラだって上がってほしいと切に願っているだろう。

マネタイズの突破口はみつからない、というのが正直なところだ。
ただ、ヨシノさんは、お客さんにとても愛されている。
ボクに面と向かって「井川さんが好きです」というヒトはいないが、「ヨシノさんが好きなんです」とボクに言ってくるヒトは意外なほど多い。
ライブでも心奪われて目を腫らしているお客さんも一人や二人ではない。

いつの時代でも愛しているものはなくならないでほしいと願うのは、人の心だ。
エトワール★ヨシノが長く続いているのは、実のところたくさんのヒトたちに愛されているからじゃないかと思うし、愛されていれば、いずれお金もついてくるだろうと楽観している。

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