観音菩薩のように

MAMEHICOの裏にいると、「どうしてこういうことしたのか?」と先輩が後輩を問い詰める場面が多い。
問い詰める先輩は「なぜか?」と失敗の理由をたずね、問い詰められた後輩は、「いや、はい、すいません」と謝る。これってちっとも会話が成立してません。

だけど、だいたいMAMEHICOの裏ってそんな感じでです。
失敗した理由を聞かれたって、答えようがない。
理由がわかってないから失敗したんで、理由が明確にわかってるなら、何度も失敗したりはしないものです。

厳しい修行を経て就くような仕事や、命を預かるような仕事なら別でしょうが、カフェの仕事ですからね。
みんな、なんとなくやってます。
それで、日によってうまくいったり、失敗してる。
失敗に着目して、スタッフの意識が低いとかなんとか、ボクはカリカリしないタイプです。
まぁ、仕方ないよね、そんな感じです。

東洋医学では、 肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん)の五臓が、気持ちをコントロールするって考えるらしい。

たとえば。爪にツヤがないヒト。
それは肝の気の流れが悪いんだと。
イライラしたり怒りっぽかったりする。

唇の色ツヤが悪いヒト。
それは心の気の流れが悪いんだと。
だから暗い表情になりがちなんだ。

肺は悲しみと関係がある、というのは有名ですね。
腎は恐怖や不安と関係があるとも。
腎は腰とも関連が深いですから、腰痛に悩まされたりするヒトは、どこかに恐怖や不安があるんじゃないか。
内臓が弱っているんだから、頭でコントロールしようとしても、どうにもならないんだと。

ほかのヒトのことは知りませんよ。
ただボク自身を振り返ってみても、日々の多くは、理屈で考えたわけじゃなく、感情=内臓に従ってるなっていう感じです。
だから、困ったときは活路を見出そうとあれこれ考えるよりも、内蔵を休ませたり、滋養のあるものを食べたり、適度に散歩したりするほうが、結果としては道が開けるというのが、自分の経験則にある。

おそらく。
東洋医学の名医ともなれば、内臓に直接アプローチして、隠れた記憶、それに伴う負の感情の改善につなげられるのでしょう。
観音菩薩は音を観ると書く。
助けてという音を聞くんじゃなく、観てあげる。
髪や爪、食欲を観察する。そうやって、すべてのヒトを救うのが菩薩の役目です。

ボクも、あまり大きな声では言えませんが、スタッフやお客さんの顔色、爪、唇、髪の艶なんかをじっと観察する癖がある。
一緒にご飯を食べるときは、その食べっぷり、食べ方、姿勢も観察してしまう。

人付き合いをすっと避けるヒト。
責任取るのをいやがったりするヒト。
そういうめんどくさいヒトたちでも、隠れている内蔵が、ちらりと垣間見られるとき。
ボクは、なんとも愛おしい気持ちになります。
…まぁ、ただの変態だと思われるので、こんなことをヒトには言いませんが。

観音菩薩のような役目のヒトが増えれば、世の中、少しは良くなるのにね。

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