「残すこと」について

ボクは福岡にいたので、行けなかったけど、ボクが以前に撮った自主制作映画の上映会が、MAMEHICO銀座でありました。

10年ほど前、ボクはカフエマメヒコを舞台に、立て続けに三本の映画を撮ったんです。
それらの作品を、ボクたちは時々思い出したように、映画祭として上映してきたんです。

『カフエマメヒコは、お客さんとお店とが互いに協力しあって、面白いことに取り組んでいます。
そのひとつに映画作りがあります。
この映画はマメヒコピクチャーズというシリーズで、カフェを舞台にしたハートフル映画です。
お店のスタッフや、お客さんたちとの映画作りは、とても魅力ある楽しい時間です。
自分たちが苦労して作った映画ですから、多くのヒトたちに観てもらいたいと思っています。
折角作った作品を観てもらえないことは切ないですから。マメヒコで作った映画マメヒコピクチャーズは、製作してから何年もかけて何度も何度も上映してきました。
映画製作を協力してくれたお客さんたちが、上映に当たっても協力してくれるからです。
そして今年もマメヒコピクチャーズはマメヒコ映画祭として上映します』

これは以前の上映会のときにボクが書いた文章ですけど、ここに書いてあるとおり、ときにエキストラだったり、様々な形で、ずいぶんとお客さんには映画作りを手伝ってもらったんです。

カフエマメヒコ、MAMEHICOは来年7月で20周年です。
カフェの仕事に、ボクは20年のすべての時間を捧げてきたんですけど、渋谷という街と10数年格闘し、敗北し。
いまは縁あって、銀座に通う毎日で、渋谷でやっていたあのすべては、幻だった気がするのです。

かつてマメヒコがあったビルの前を通り過ぎても、懐かしさがこみ上げるようなことはなく、
まるで人ごとのように思える。
「へぇ、こんなとこでやってたんだ」

映画は時間が経っても、きちんと目に見える形で残ります。
かつて、ボクたちが居た場所や付き合ってたヒトが写っている。
その映画を久しぶりに上映するとあって、どんな風に受け止められるか心配してたんです。

映画祭は、ボクたちが映画を撮っていたことを知らないお客さんも観に来てたらしく。
スタッフに聞くと概ね好評だったようで(そもそも批判的なヒトはわざわざボクの映画を観には来ないでしょうけど)、良かったなと胸をなでおろしています。

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