宮大工の口伝

今、福岡の糸島でカフェを作っております。

そこで一緒にやっている加賀田さんという大工さんがいるんだけど、このヒトとの出会いが糸島のお店を作る上で弾みになったことは間違いない。

加賀田さんは数寄屋大工だけど、法隆寺を作られた宮大工の西岡さんという方が、宮大工に長きに渡って伝わる口伝(文字ではなくて言葉で伝える)を本にしていてね。

たくさんいる大工の中でもこれぞ、こいつだというヒトにだけ、ここぞという時に口で伝える。伝えられた本人も、受けたら覚えて先に進むという形で伝えられた。

これはボクの思想に近い。ボクが好きな老子の思想にも近い。

物事を進めるには、ブリコラージュとエンジニアリングがある。きちっとした計画(エンジニアリング)の元で物事を進める一方で、現状を踏まえた上で物作りをしていくのがブリコラージュ。

もちろんどちらかだけということではなく、計画がまず先にあっても現場ではいろんなことが起きるし、けれど完成形のビジョンがなければ、多くのヒトと多くのことを成し遂げられないので、ブリコラージュとエンジニアリングは、どちらも必要だよね。

ただ、計画と現場が対立することがあったとしたら、現場を優先しましょうという考え方。

いろんな口伝の中にはリーダーとしてこうあれということが書かれてあってね。例えば、木を買うのではなくて山を買えということが書かれている。

それは、ヒトで言えば、ポストに相応しいヒトを探すより、地域にいるすべてのヒト、自分の周りにいるあらゆるヒト全てを巻き込んで物事を成していく。誰がどんなふうに役に立つかは計り知れないということ。

それから、木は生育の方位のままに使え、ということも伝えられている。南向きに生えてる木は南に、北向きに生えている木は北に使え、と。

仕事にヒトを合わせるのではなくて、ヒトに仕事を合わせろとも書いている。これもそうだなと思うね。

また、木組は木の癖組、木の癖組は大工たちの心組であるとかも書いてあるね。

ヒトをどう見るか、そのヒトたちを暴力的にねじ伏せるのではなくて、そのヒトたちの良さを上手く組み合わせて物事がなされなくてはいけないと書いてあるので、興味あるヒトは読んでください。

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