糸島のMAMEHICOがいよいよ、2024年の11月オープンに向けて、追い込みとなっています。
お店をひとつ作るとなると苦労の総合デパートで、まぁ、それはどんな世界でもそうでしょうけど、笑えるはなし、笑えないはなし、今回も実にいろいろな物語がありました。
そして、これからもあるでしょう。
さて、糸島のお店が建つ場所に、土地のシンボルとして、大きな「門」を作ることにしたんです。
「門」?
イメージ、わかないと思います。
わからないものと思って付き合ってください。
ボクもイメージ湧いてません。
ただとても大事なものなんです、その「門」。
いや正直いうと、「門」なんてあってもなくてもどっちでもインですよ。
むしろお金を節約するなら、絶対に作らないほうがいいのかもしれません。
だけど。
「門」って必ず、神社仏閣なんかにあるでしょう。
黒澤明の「羅生門」しかり、ナポレオンの「凱旋門」しかり。
今回の糸島のMAMEHICOには、なんか「門」があったほうがいいと思ったんですね。
なんとなくですけど、今回は大きな「門」が必要な気がした。
それで「門の」デザインをボクが描いて、大工の加賀田さんに作れますかとお願いして実現したのが「門」です。
加賀田さんは、九州の伝統工法に携わる大工さんたちを集めて、「木組み」でこの「門」を建てていくことにした。
もちろん釘は一本も使わない日本の伝統的な「木組み」で、この「門」は建てようと。
法隆寺を中心に、薬師寺、法輪寺も手がけた宮大工の西岡常一さん。
祖父も父も法隆寺の宮大工の棟梁だったという常一さんは、祖父から徹底した英才教育を受け、木と話せるようにならなくては、大工にはなれないと教えたそうです。
(その西岡家に代々伝わる「口伝」が本になっているので読んでみてください)
たとえば「堂塔の木組は木の癖組」。
「堂塔」というのは、寺院の本堂や塔のこと。
木材は自然のものなので、一本一本、生育環境によって曲がり方や強度が異なる。
その癖を見極めて、「癖」を活かし、適切な箇所に使って建物を組み上げていけよと。
それは、材料だけでなく大工も同じで、「木の癖組は工人たちの心組」という名言もあって、手の早いもの、慎重なもの、そういう心を組み合わせてものを作っていくのだと。
さらには、「百論一つに止まるを正とや云う也。一つに止めるの器量なきは謹み惧れ、匠長の座を去れ」というボクに向けられた厳しい口伝もある。
身の引き締まる思いです。
「門」の棟上げ式は、今週執り行われます。