MAMEHICOを始めて20年。ずっと大変なときが続いています。
デフレが続くなかお客さんの購買意欲も低い。
大企業は、大量生産で高品質、安価な商品を提供してきました。
メディアやインターネットによる大規模な宣伝、圧倒的な多店舗展開によって、消費者に認知してもらい買ってもらう戦略。
経済が冷え切っているところへ、都内中心地の家賃高騰、そこへもっての材料費の高騰。
税や社会保障の負担は増えるばかり、最低賃金の引き上げ。
通常のカフェや喫茶店は、コーヒー価格に利益を上乗せし、なんとか経営を成り立たせるのが一般的です。
しかし、少子高齢化、人口がぐんぐんと減ってるわけですから、集約型、薄利多売の商売では、やっていけるはずもない。
ボクたちのような小さなMAMEHICOが、これでやっていけるはずないじゃん。
もはや、船越英一郎に岬の突端まで追い込まれた犯人の気分です。
でも、ボクは経営者です。
MAMEHICOの経営はどうあるべきか。
ここは冷静にですね、きっと良い方法があるはずです、考えてみましょう。
そもそもカフェって。
あらかじめ予約もしてないお客さんが、ふらっと訪れ、ボクたちの仕事場である空間に自然と溶け込んでる、かなり「不思議」な場所であることに違いありません。
みなさんの職場に突然、アポ無しで誰か来て、お茶よこせと言い出したらどうします?
いつ誰が来るか分からないのに、「いつも準備が整っている」。
そんな骨が折れることを、厭わず続けているのがカフェの店員たちですし、この「いつも開かれた空間を保っている」こそが、カフェの魅力のひとつだとお気づきでしょう。
お客さんにとってのカフェへの親近感や安心感、サードプレイスだかなんだかとして、生活の一部でいられるのは、この「いつも開かれた空間を保っている」にある。
でもそれがまた、カフェ経営の難しさでもあるわけです。
そこでボクはMAMEHICOは単なる「飲み物を提供する場」ではなく、この「いつも開かれた空間を保っている」に、積極的に「応援してもらう」カフェ経営に切り替えたわけです。
まず手始めに、MAMEHICOを経営するボクの人柄や思いを、お客さんに知ってもらう。
さらに、来てくれてるお客さんの人柄も知りたい。
そのための方策として、様々なイベントを提案し、関わってもらうことを思いついた。
イベントを通して、ただの「店員」と「顧客」としての関係性を超えてもらおうと。
これはうまくいってると思います。
距離を縮めるわけですから、相思相愛とばかりにはなりませんが、そうやってMAMEHICOを始めて2年余り。
ただのカフェをやっていたときよりも、「応援してもらう」お客さんは確実に増えました。
「応援してもらうだなんて。お客さんにせびてるみたいで、みっともない」、なーんて思ってたときもありました。
だけどそれは、小さなカフェを、小さい会社を続けていくことが、どれだけ大変かを、ボクが知らなかっただけだった。
厳しい状況は続くわけですから、ボクひとりがかっこつけて、肝心のMAMEHICOがなくなってしまったら、それこそ、ここを当事者として関わってくれてたヒトたちに申し訳ない。
最近、MAMEHICOにニつの共感があるとわかりました。
ひとつは「この小さな場所を守りたい」という気持ちです。
人間の素敵な部分です。
そしてもうひとつは、「この場所とともに成長したい」。
そんな思いを持ったヒトが、ボクの周りにたくさんいます。
「守りたい」から「ともに成長したい」。
店とお客さんの垣根が薄れている、これはひとつの時代の変化でしょう。
昔に比べて、うんと良い時代になってるとボクは思う。