「紫香邸」と名付けたくらいなので、庭には四季を通じて、紫の花が咲き香るようにしたい。
ですから、秋になって紫香邸の庭いじりを始めています。
最初は、気軽にお花でも植えましょう、なんて考えていたけれど(いつも見通しが甘い)、長年放っておいた庭土をいじり出すと、見えなかった地下が見えてきて、とっても大変です。
この庭。
掘ってみますと、なんともまぁ、
掘り出した丸石を積んでみれば、三途の川のほとりような気分になってくる。
既存にあった花壇に手を付ければ、
「おっと、こんな重たいものは動かせんだろう」と無視していたが、どうにも邪魔。
端のほうに移動することにした。
長い棒をてこにして、えいやっと2,3人で動かしてみたら訳もなく、拍子抜けした。
それから、一見、
それよりもなによりも重たいのは、「根」である。
爽やかに風に揺れてる木々。
要らぬものは伐採し、根を抜いてみたり試みるのだけれど、なんとまぁ「木の根っこ」の重いことか。
数人がかりで押しても引いてもビクともしない。
見た目の爽やかさとは違って、地中深く、どこまでもどこまでも根を伸ばしている厄介なものもいる。
途中、チェーンソーで根を断ち切ったりしながら、半日かかってやっと抜けた、なんてことさえあった。
作業を終えて。
疲れ果てた仲間たちを見たとき、ふと人間について考えた。
みんな、なんのために、こんなことに付き合ってくれているのか。
植物と同じく、人間にだって「根」があるんだろうと思った。
「あの連中の闇は根深い」
「あいつは根性が座っている」
「とても性根のいいヒトよ」
トラウマ、生い立ち、出生、先祖…。
人間の行動は、重たい「根」に基づいているのではないかと、ぼんやり予測する。
SNSを見ていると「表と裏」という言い方をよくみる。
「あやつの善意は見せかけの表。その裏は、金と女と名誉、私利私欲に狂った下衆」
紫香邸には、日当たりの良い南側に表玄関、北側に裏玄関がある。
表玄関、裏玄関、用途は違えど、
「根」は深く掘ってみないとわからない。
いや、掘ってみたところで全容まではわかりえない、とわかった。
涼しい顔して咲かせていたツバキが、どこまでも地中深く根を伸ばしていて、そら恐ろしかった。
ボクは若い頃、スナフキンに憧れていた子どもだから、引っ張ればすぐ抜けてしまう、根無し草なのかもね。