手作り
ボクは、仲間たちと試行錯誤しながら作っていったものが良いものだと感じている。
ところが、今の日本では、それができなくなってる。なぜかというと「人件費」という考え方があって、人というのは1時間あたりいくらのものなんだ、というのが定着してるからだ。
ボクらが「ノッテビアンカ」というドラマを作る際、編集にはデジタル系の機材を駆使しているけど、撮影そのものはアナログ。だから、例えば音がきれいに録れていない、フォーカスが合わないということは、ボクらが録ってる以上、散見するわけ。
それなら撮影もデジタル機材を使った方がいいかとなるけど、ボクらは、だからこそ、みんなで手作りをする。
ボクを筆頭に日本人はもの作りがとても好きだと思う。時間をかけて手で作る過程の中で人間はいろんなことを考えるからね。こんなものを作ったら喜ばれるんじゃないかな、自分の中で今までやったことがない初めてのことだな、出来たらすごいなという思いがものに込められる。
かつては、プロのもの作りというのは、手作りで、それが認められた時代があった。そこにお金が生み出されると、それを作業環境に投資することができて好循環になり、、という時代が明治以降、高度経済成長期にはあったんでしょうが、今はほぼ無理だよね。
今は、プロは予算、お金、時間を気にして、失敗してはいけないという意識でものを作っているのが現状だよね。でも、それでは良いものづくりなんて出来るわけない。
若いヒトたちの中には、自由を勝ち取るために、お金、知名度、大きな組織にいることが大事なんだと思っているヒトもいるけど、そういうトコロこそ、案外、世知辛くて縛りが多くて何の自由もないということもあるからね。
ボクは、同じ思いの人たちと、試行錯誤しながら手探りでものづくりをしていき、いいものは継承し、ダメなものは改善して、少しづつ良いものを作っていきたい。それがボクが理想としているMAMEHICOのかたちです。