不正について

なんていうかボクは、
若い頃から不正を看過できない性格なんですね。

「あのさ、それ違ってるんじゃないの」って、
ヒトに真正面からはっきり言ってしまう性格です。
先生だろうが先輩だろうが、親や会社だろうが、
そう言うので随分と損してきました。

人間て一人ずつは良いとしても、
集団になると、なにそれ?ってことが起こりますよ。

「あんたたち、そんなのおかしいじゃないか。
言ってることと、やってることが違うじゃないか。
恥ずかしくないの?」

カッとなって偉そうに言ってしまう。

学生のころから、そんな口調だから、
だったらお前がトップやれと、
そういう役回りばっかりさせられてきた。

こういう性格を直したいとも思わないし、
直そうと思って直せるものでもありませんけど、
「なんで、うまいことやれないの」って、
母親に言われてた言葉をときどき思い出します。

新聞を見ても、あちこちで不正が取り沙汰されてます。 
不正ってなくそうと思ってなくならない。
たとえばうちのはなし。

珈琲豆の鮮度。これってすごくボクらは気にしていて、
焙煎してから10日以内に使うって、開店当初から決めてるんですね。

じゃあね、仮にね、
11日目の珈琲豆が店内に残ってた場合、
どうするのかっていう、捨てるのか、捨てないのか。

もちろん、ルールでは捨てるってことになってますけど、
10日目の豆と、味に特段違いがあるのかって言ったら無いんです。

だったらいいじゃないってなる。
でもね、そしたら12日目のはどうなの?
11日目のがいいなら、12日目のもいいじゃないよ。
ってそうなるんですよ。
で、いつしか一ヶ月以内ならいいってスタッフの間でなってて、
びっくり仰天したことがありました。

そんなときに怒ってね、
厳格に焙煎してから10日以内に使うことを取り締まればいいのか
それはそうでもなくて、ルールを厳しくすると、
かかった圧力は違う方向に逃げるだけです。

珈琲豆が10日以内に使い切れなくて、余って怒られるくらいなら、
注文量を減らして、最悪、欠品してもいいやってなるだけです。

実際、そういう経験をしたことがあります。

あっ、こういうのもあったな。

マメヒコも珈琲豆を豆のまま販売してるじゃないですか。
あれって、袋に賞味期限て書きますよね。
賞味期限なんていい加減なもんで、
珈琲豆なら1年くらいにしてるお店が多い。

はて。袋詰めしないと10日の命が、袋に詰めたら急に命が1年に伸びる、
みたいなことがなぜか起こる。

その理屈を利用して、珈琲豆が余って破棄しそうなときは、
あらかじめ袋詰して、物販として売るんだぞって、
店長が下に指示していたこともありました。
呆れるやら感心するやら、やれやれです。

そういう不正って、毎日いっぱいあります。
うちみたいな小さな組織ですらいっぱいあるんだから、
よそだっていくらでもあるはず。

そして不正ってなくならないと思う。
なくなると思うヒトは、世間知らずなんじゃないかしら。
ボクは不正って、小さな善意から起きるのだと思っているからです。
善意ってなくならないですよ。

いろんなことがボクのところに寄せられています。
新しい店を、埼玉、群馬、福岡と、同時に3つ作っているので、
小さな不正にいっぱい気づきます。

ボクは看過できない性格なので、そのたび、オーマイガッとなって、
「あんた、それ違ってるんじゃないの」って、
真正面からはっきり言います。

ヒトを使ってなにかをやるって、ほんとめんどくさいです。
だからお薦めはしません。
だけど。
時が経って、ボクに代わって、
「オーマイガッ、あんた、それ違ってるんじゃないの」
て発狂してるスタッフを見つけたとき。

ボクは、なんとも言えない、
温かい気分になることがあるんです。

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