不安について

2023年、いまは時代の変化のなか、
それも大きな変化のまっただなかにいる。
ボクはそう感じています。
それは東京のど真ん中で、小さなカフェを経営してきた、
ボク自身の肌感覚によるものだと思います。

去年、MAMEHICO銀座を開店させた直後から、
「面白可笑ひこ」というお楽しみ会?を始めました。

普通のお客さんが、歌ったり、踊ったり。
小さなお芝居をしてみたり。
「あなたが主役ですよ」というのは言いすぎですけど、
練習する時間の取れないヒトでも、
スポットライトが当たるように配慮したものにしました。

銀座だけでなく、神戸でもやりましたし、
桐生の開店に先駆けて、群馬でもやりました。
いろんな場所で、いろんなことを試した一年でした。

毎回、企画や脚本は参加者に合わせ、ボクが作るわけで、
それだけでも大変だし、集客も苦戦しますから、
一年経った先週末、
「来年もこのまま続ける?やめる?」
そんな本音がボクにもスタッフにもありました。

そもそも。

MAMEHICOは、一般的に流布しているカフェとは違う、
新しいカフェを作ろうよ。
そんなボクの想いが結実したものです。
“こんな時代だから、カフェはメディアになれないか?”
”こんな時代だから、カフェは希薄な人間関係の受け皿になれないか?”
”こんな時代だから、カフェは健康を支える場所になれないか?”

こんな時代だからという、いまの現実を捉えたカフェでいよう、
一所懸命、時代と向き合おうとすればするほど、
ボクは時代の先端の部分に関わろうとしてしまいます。
一方、時代の先端だとか、そんなこと、ちっとも気にしてないヒトたちが、
カフェの多くの利用者であることも、ボクは知っているのです。

世知辛い現実とは距離を取って、ちゃんとした秩序のなかで、
美しく暮らしてるヒトたちがいる、そのこともボクは知っています

だから。
「MAMEHICOは、どうだ、すばらしいだろう」とは、
とてもとても思えません。
明日にでも、うまくいかずに終わってしまうんじゃないか。
こんなことはすべてボクの独りよがりなんじゃないか。
そういう不安を、いつも抱いて眠ります。

そうした不安は、
社会のため、時代のため、お金のため、
ボクなんかでは手に負えない、
漠然としたものを相手にしようとするからでしょう。

目線を変えて、ボクの身近なスタッフ、
MAMEHICOに関わってくれてるお客さん、
そのヒト達の表情の中に「一瞬の本当」を見つけることはできます。
そうすれば、ボクはたちどころに
「これでいいのだ」と安心できるわけです。

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