「調和」の役目について

月に一度は福岡に通っています。

海に面する山間の窪地に建っていた元レストランを改築して、
MAMEHICO福岡・糸島にする計画があり、その準備のためです。
古い友人からいただいたお話で、ありがたい縁に感謝しています。

さて、日々、改修してるわけですけど。

ボクはいつも綿密な設計図は作りません。
少しずつ現場の様子を見ながら作っては壊し
というやり方を意図的に取ってる。
それは、ボクの役割の話になるんですが、
この世には相反するものがありますよね。
善と悪とか、光と闇とか。

どちらもあっていいわけですが、
いまそのバランスが崩れているとボクは感じてる。
白黒一方に加担するんではなく、
上手にそれらが共存できるように配置する、
それがボクの役割なんだろうと日頃考えているんです。
つまり「調和」の役目ですね。

だからボクにとって大事なことは常にバランスを取ることで、
白に偏るようならその反対の黒を補う、いつも調和を取り続けたいんです。

今回、用意された土地。
ボクの印象ではとても男性的な場所でした。
もともと石切り場だったからか、
あちこちに大きくて荒々しい石が落ちてる(汗)。
そこに集まっているヒトたちも男性が多くて、
少年たちの秘密の隠れ家という感じでいんですが、
女性は入りにくいなという印象を持ちました。

そうやって、バランスを整えるために改修していくわけですが、
それって正直感覚じゃないですか。
それって男、それって女。
言葉ではどうも表現しきれない感覚の部分が大きい。

「こうやろうってはなしで実際取り掛かってくれてますね、
でも実際やってみて、どうでしょう?
それよりも、こっちのほうがよくないですか?」

朝令暮改の指示が多くなります。
そのたびに、
「聞いてねーよ」
と不貞腐れられたりしたら、めんどくさい。

でもね、この糸島はほんと不思議なんだけど、
そういうボクの提案に、
「そげんやね」
って返してくれるメンバーが多いのよ。
いまのところ上手にいってるのは、
集まってくれてるメンバーの気持ちよさが大きい。

カフェになる建物は寄棟屋根で男性的です。
なので、外観も渋墨塗といって、
柿渋と松木を焼いた煤をまぜた塗料で黒く塗ろうと思っています。
一方、店の入口には、
ひとつシンボルとなるような建物を建てようと思っています。

こちらの屋根は丸みを帯びたむくり屋根にし、
色はベンガラで赤く塗りたいと思ってる。
九州の阿蘇山あたりでは、古代からベンガラが取れたみたいなので、
せっかくならそれを使ってみたい。

黒は夜の空。
赤は朝の赤、血の赤、命の赤。

黒、赤、白、青。
自然にグラデーションさせる、
調和させるのがボクの役割であり、
ひいてはMAMEHICOの役割なんだろう。

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